上半身はサル 下半身は魚 “人魚のミイラ” しかしその正体は

東京, 2月9日, /AJMEDIA/

岡山県浅口市の寺院に上半身はサル、下半身は魚のまるで人魚のような姿をした干からびたミイラ状のものが大切に所蔵されています。
大学などでつくる研究グループが、その正体を調べた結果、本物の人魚ではなく、19世紀ごろに人の手によって作られたものであることがわかりました。

浅口市の「圓珠院」に「人魚干物」と記された書きつけとともに古くから所蔵されてきたのは全長が30センチほどの干からびた生き物のようなものです。

上半身は顔や手がありサルのようにも見えますが、下半身には魚のようなヒレがついていて、その姿から「人魚のミイラ」と呼ばれています。

倉敷芸術科学大学や倉敷市立自然史博物館などでつくる研究グループは、本物の人魚なのか、その正体に迫ろうと去年2月からエックス線で内部を撮影するなど科学的な調査を進め、最終報告書がまとまったことから7日、会見を開きました。

それによりますと、頭骨やろっ骨などがなく上半身は紙や布で、下半身はうろこの形態などから日本の沿岸に生息するニベ科の魚の特徴が確認されました。

このうろこについて、時間が経過すると減少する「放射性炭素」を使い測定したところ、1800年代後半のものだと推定されたということです。

また、民俗学的な分析も行われ、研究グループは信仰の対象ではなく興行などの見せ物として19世紀ごろに人工的に作られ、その後、寺院に持ち込まれたのではないかと結論づけました。

倉敷芸術科学大学生命科学部の加藤敬史教授は、「国内外で『人魚のミイラ』は複数見つかっているが、科学的な調査はほとんどされていなかった。私たちの研究をきっかけに、今後、同じような研究が行われて比較されることで、今回わからなかった作り手の解明につながればいい」と話していました。
圓珠院 柆田住職 「『ミイラ』を守り伝えていく」
「人魚のミイラ」を所蔵する浅口市の圓珠院の柆田宏善住職は、「この『人魚のミイラ』には作った人、保存してきた人、そして珍しいものとして祈りや願いを託してきた人、さまざまな人の思いが宿っています。その思いは、これからも続くものですから、私はこの『ミイラ』を守り伝えていきたいです」と話していました。

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