福島第一原発の処理水 海に放出 差し止めなど求める裁判開始

東京, 03月05日 /AJMEDIA/

東京電力福島第一原発にたまる処理水を薄めて海に放出していることについて、福島県などの住民や漁業関係者が差し止めなどを求めている裁判が4日から始まり、原告の1人は「私たち漁師が求めているのは海を汚さず、漁業を続けていけることだ」などと意見を述べました。

13年前に事故が起きた福島第一原発では、廃炉作業の過程でたまり続ける放射性物質を含む処理水について政府の方針決定を受けて、去年8月から基準値を下回る濃度に薄めて海に放出する作業を開始しています。

今回の裁判で、福島県内外の住民や漁業関係者など363人は、国と東京電力に対し、福島県漁連と結んだ「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という約束に反し、住民が平穏に生活する権利を侵害しているなどとして、国の原子力規制委員会による放出計画の認可取り消しと放出の差し止めを求めています。

4日、福島地方裁判所で始まった裁判では、原告の1人で福島県新地町の漁業者 小野春雄さん(72)が意見を述べ「放射性物質を薄めて流せばよいという問題ではない。私たち漁師が求めているのは海を汚さないこと、そして放射能汚染に悩まされず、早く廃炉が無事に終わり、漁業を続けていけることです」などと主張しました。

これに対し国側の代理人の弁護士は「処理水の放出は公益に資するもので個人の利益が侵害されるおそれはない。裁判は速やかに却下されるべきだ」と主張しました。

原告の1人「子孫に迷惑 海はゴミ箱ではない」
原告の1人として、4日の法廷で意見を述べた福島県新地町の漁業者 小野春雄さん(72)は、裁判のあとの会見で「海に処理水を延々と流せば子孫に迷惑がかかり、なりわいを引き継ぐことができない。国の説明は不足し、処理水の放出に関連する作業ではトラブルも起きていて、この先に不安を感じる。海はゴミ箱ではないので、放出してはいけないし放出を止める必要がある」と話していました。

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