サル痘 WHO 専門家緊急委で検討 「緊急事態」か数日以内に判断

東京, 6月24日, /AJMEDIA/

欧米などを中心に報告が相次ぐ「サル痘」について、WHO=世界保健機関は日本時間の23日夜、専門家による緊急の委員会を招集し「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるか検討しました。
委員会での検討結果を踏まえ、今後、テドロス事務局長が緊急事態を宣言するかどうか数日以内に判断を示すとしています。

欧米などでは「サル痘」の報告が相次いでいて、WHOのヨーロッパ地域事務局によりますと、今月21日までに確認された感染者はヨーロッパを中心とした29の国と地域だけで2746人に上るということです。

こうした事態を受けてWHOは日本時間の23日夜、各国の専門家による緊急の委員会を招集し、最新の状況などを踏まえ、今回の感染の広がりが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」にあたるか検討しました。

WHOは、委員会での検討結果を踏まえ、今後、テドロス事務局長が緊急事態を宣言するかどうかを、数日以内に判断を示すとしています。

緊急事態の宣言は、現在は新型コロナウイルスとポリオの感染拡大で出されています。
国内での備えは
国内でサル痘の患者が見つかった場合に備えて、厚生労働省は検査やワクチン接種などを速やかに行う体制の整備を進めています。

サル痘は1970年に海外で人での感染が確認されて以降、厚生労働省は動物から人への感染症を指す4類の感染症に指定していますが、国内でこれまで患者は報告されていません。

しかし、欧米を中心に感染が拡大していることを受けて厚生労働省が体制の整備を進めています。

このうち検査は現在、国内で実施できるのは東京の国立感染症研究所の1か所だけのため、全国におよそ80か所ある地方衛生研究所でも検査ができるよう準備を進めています。

ワクチンについては、天然痘ワクチンがサル痘にもおよそ85%の発症予防効果があるとされていて、国内でもメーカーが生産し、備蓄されています。

しかし、1976年以降定期接種は行われておらず、もともと天然痘のワクチンとして薬事承認されているため、原則サル痘には使うことができません。

このため厚生労働省は、東京の国立国際医療研究センター病院で研究目的として例外的に患者の家族などを対象に接種できる体制を整えました。

対象となるのは患者に接触してから14日以内の濃厚接触者で、21日後までの発症の有無を調べます。

ワクチン接種は新型コロナでは原則、感染前ですが、サル痘では感染後の接種でも発症や重症化予防の効果があるとされ、濃厚接触者も接種の対象となります。

治療薬については日本では承認されておらず、確保もされていないため、厚生労働省は海外からの輸入と薬事承認の検討を始めています。

このほか全国58の指定医療機関に入院体制の確保を求めていて、感染が疑われる患者が見つかった場合は速やかに報告するよう医療機関に求めています。
木原官房副長官「WHOとも連携して対応」
木原官房副長官は、記者会見で「世界的な感染状況について、韓国での1例目の確認も含めて注視している。WHO=世界保健機関が本日、緊急委員会を開催すると承知している。ここでの議論を踏まえて適切に対応したい」と述べました。

また「現時点で国内での感染は確認されていない。感染が疑われる場合は医療機関から保健所に相談していただくよう依頼し、必要な検査などを行う体制を整えている。政府としてはWHOともよく連携しつつ、国内外の感染症の発生動向の監視など必要な対応を講じていきたい」と述べました。

さらに「疑い例については個人情報への配慮の観点から、検査で感染が確定するまで公表しないこととしている。検査で確定した段階で個人情報に配慮しつつ、適切な行為を行う」と述べました。

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