小惑星「リュウグウ」元の天体に“大量の水”採取サンプル分析

東京, 6月10日, /AJMEDIA/

日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」で採取したサンプルについて、2つのチームが分析した結果がそれぞれ公表され、「リュウグウ」には水と反応してできた鉱物が豊富に含まれていたことから、「リュウグウ」の元となった天体には大量の水があったと考えられるとしています。
「リュウグウ」のサンプルの詳しい分析結果が公表されるのは初めてで、世界的に話題となった「はやぶさ2」プロジェクトの成果として注目されます。

「はやぶさ2」が採取した小惑星「リュウグウ」のサンプルは、国内の8つのチームが生命に関係するアミノ酸や水の痕跡などの分析をしていて、このうち岡山大学とJAXA=宇宙航空研究開発機構が中心となった2つのチームが、詳しい分析結果としては初めてそれぞれ論文を発表しました。

岡山大学が中心となったチームによりますと「リュウグウ」のサンプルから23種類のアミノ酸が検出され、この中には神経伝達物質として知られるグルタミン酸やアスパラギン酸、コラーゲンに含まれるグリシン、それに代謝に関係しているバリンなど、生命の活動に関係が深いアミノ酸が含まれていたということです。

また、電子顕微鏡の観察や化学分析で、サンプルの中に水と反応してできた鉱物が豊富に確認されたことから、2つのチームはいずれも、「リュウグウ」の元となった天体には大量の液体の水があり、その後、天体どうしの衝突などで細かく分裂して徐々に水が失われ、現在の「リュウグウ」ができたと考えられるとしています。

岡山大学のチームは、サンプルの隙間の量を示す空隙率が40%余りと高く、当初含まれていた水や氷が宇宙空間に放出されたことなどを示しているとしています。

水と鉱物が反応した時期については、岡山大学のチームは、太陽系が形成されてから260万年後で、水の温度は0度から30度程度と推定した一方で、JAXAを中心としたチームは、太陽系形成後、およそ500万年後におよそ40度の温泉のような水があったとみられるとしています。

いずれのチームの結果も太陽系の初期の様子を知る貴重な手がかりになるとみられ、世界的にも話題となった「はやぶさ2」プロジェクトの成果として注目されます。

岡山大学の研究者「今後 生命の起源との関連がより明らかに」
岡山大学の研究者は「『リュウグウ』はもともと水が豊富で『ほうき星』とも言われる『すい星』の核のようなものだったと考えている。そうした天体で有機物が化学的に進化して生命の誕生につながった可能性がある。今後の研究によって生命の起源との関連がより詳細に明らかになる」としています。
JAXAの研究者「今回は連続ドラマの初回のようなもの」
JAXAの研究者は「今回の発表は連続ドラマの初回のようなもので、ほかのチームからも次々と成果が発表されるので、最後までいくと全容がわかるようになると期待したいと思います」と話しています。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts