14自治体が規制区域指定 危険な盛り土対策、法施行1年

東京, 5月5日 /AJMEDIA/

 静岡県熱海市の土石流災害を踏まえ、盛り土の安全対策を強化した「盛土規制法」が施行されて今月26日で1年となる。国土交通省のまとめでは、4月1日までに福島、大阪、広島、鳥取の4府県や神戸市など計14自治体が同法に基づく規制区域を指定。危険な盛り土の早期発見に向け、住民に情報提供を求めるなど監視を強化している。

 同法は、盛り土の崩落で被害の恐れがあるエリアを全国一律で規制。都道府県知事などが指定した区域では、新たな盛り土をする場合、許可が必要となる。

 土砂災害が繰り返し起きている広島県は昨年9月、全国で最初に区域を指定した。山間部などでの規制は条例で厳格化。国の基準では盛り土の許可が必要な面積は3000平方メートル以上だが、500平方メートル以上にした。

 住民には、広報紙や回覧板などで不審な盛り土の通報を呼び掛けている。県の担当者は「職員だけでは手が足りない。県民による監視の目を厳しくすることが重要だ」と話す。

 静岡県は来年5月までに、区域指定を終える計画だ。同県は2021年の熱海市の土石流災害が発生する前から、条例で盛り土規制を強化しており、土石流の起点にあった盛り土も届け出を受けていた。

 しかし、盛り土の高さは事業者の届け出では15メートルだったのに、実際は50メートルに達していた。そこで県は、人工衛星の画像を活用した監視システムなどを導入。担当者は「制度と監視の両面から悪質行為の防止に取り組む」と強調する。

 国交省によると、来年5月までに約9割の自治体で指定が完了する見込み。ただ、ノウハウ不足で作業が遅れ、指定時期が未定の自治体もある。ある県の担当者は、地形調査が完了し次第、市町村との協議に入るとした上で、「規制をかけると経済活動が制限されるので、協議は難航するのではないか」と指摘。早期指定に向け、国に先行事例の提供など、支援の充実を求めた。

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