サル痘 アジアでも確認 ”感染拡大の傾向” わかってきたこと

東京, 7月5日, /AJMEDIA/

欧米を中心に報告が相次ぐ「サル痘」。感染が確認された人は世界で5000人を超えました。

韓国やシンガポール、台湾でも感染者が確認されています。日本にも入ってくるおそれはありワクチンや治療薬の準備も進められています。

WHO=世界保健機関は現時点では「公衆衛生上の緊急事態」にはあたらないとしましたが、今後、新型コロナと同じように警戒が必要な感染症になるのか。私たちはどう対応していけばいいのか。これまでにわかってきたことをまとめました(2022年7月4日現在)。

「感染拡大の傾向 今後も続く」WHO事務局長
「サル痘の感染拡大の傾向は今後も続きそうだ。ウイルスが定着し、子どもや免疫不全者、妊婦などに移行しないか懸念している」WHOのテドロス事務局長は6月29日の会見で危機感を示しました。

サル痘の感染が確認された人は増加が続いています。
アメリカのCDC=疾病対策センターのまとめによりますと、7月1日現在、サル痘が定着していない52の国や地域で5783人の感染者が確認されています。特にヨーロッパでの感染者の増加が顕著です。1日までにWHOのヨーロッパ地域では31の国と地域で4500人以上の感染が確認されています。

このうち治療や隔離の目的で入院したのはおよそ10%、集中治療室で治療を受けたのは1人、亡くなった人はいないとしています。

WHOは1日に声明を発表し、世界の感染者のおよそ90%がヨーロッパ地域から報告され、報告される患者の数もおよそ2週間で3倍に増えるなど急速に拡大していることに加え、女性や子どもの患者も報告されるようになっていることから、各国に対し対策を強化するよう呼びかけました。
“公衆衛生上の緊急事態” 見送りも 警戒
これに先立つ6月23日、WHOは各国の専門家による緊急の委員会を招集し、今回の感染の広がりが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たるかどうか協議しましたが、現時点では緊急事態には当たらないと判断しました。

緊急の委員会では「感染の広がり方についてさらなる理解が必要なこと」「感染した人と接触した人を追跡するのが難しいこと」「ワクチン接種の戦略の評価」などについて専門家が議論したということです。

そのうえで緊急の委員会は「サル痘」が定着していない国や地域でこれほど感染が広がるのは異例で、今後もさらに広がるおそれがあることから引き続き状況を注意深く監視し、さらに情報を収集したうえで今回の結論を再検討する必要があるかどうか近く判断すべきだと助言しました。

WHOは全般的なサル痘のリスクは世界全体では「中程度」としていますが、6月27日の報告ではヨーロッパ地域については「高」に引き上げました。
発疹が特徴的な「サル痘」 今回の感染では
サル痘は天然痘ウイルスに似た「サル痘ウイルス」に感染することで起きる病気です。

国立感染症研究所やWHOなどによりますと、サル痘のウイルスの潜伏期間は通常7日から14日間で、潜伏期間のあと発熱、頭痛、リンパ節の腫れ、筋肉痛などが1日から5日間続き、その後、発疹が出るということです。発疹は典型的には顔面から始まって体じゅうに広がります。徐々に膨らんで水疱(水ぶくれ)になり、うみが出てかさぶたとなり発症から2~4週間で治癒します。

多くの場合は軽症で自然に回復しますが肺炎や敗血症などの合併症を引き起こすことがあり、年齢が低いほど重症化する可能性があるとされています。
ただ今回広がっているサル痘では様相が異なっています。

WHOが緊急委員会のあとで出した資料によりますと、今回の感染拡大では発疹が性器や肛門の周辺など一部にとどまっているケースや、発熱などの前に発疹が出るケースが特徴的だということです。入院したケースはほとんどないとしています。

すべての人に免疫がなかった場合などに1人の患者から何人の人に感染するかを示す「基本再生産数」は0.8とされ、2を超えるとされる新型コロナウイルスなどと比べてそれほど感染力が強いわけではありません。

またオランダでの分析に基づくと感染から発症するまでの潜伏期間は平均で8.5日、イギリスでの分析によると感染した人1人が発症し、次に感染した人が発症するまでの発症間隔は平均で9.8日だと推定されているということです。

さらに医療従事者の感染はこれまでに10例報告されているものの、少なくとも9例は業務に関わる感染ではなかったということです。

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