カンヌ映画祭開幕 是枝監督の最新作などノミネート 賞の行方は

東京, 5月18日, /AJMEDIA/

世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭が開幕しました。最優秀賞を競うコンペティション部門には、日本の是枝裕和監督の最新作のほか、役所広司さん主演の作品もノミネートされ、賞の行方に注目が集まっています。

ことしで76回目となる世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭が16日にフランス南東部のカンヌで開幕しました。

開幕式を前に、ノミネートされている作品の俳優や監督らがレッドカーペットに姿を見せ、是枝監督の姿もありました。

開幕宣言を務めたフランスを代表する俳優カトリーヌ・ドヌーブさんは、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの詩の一節を披露し、「わたしはウクライナのことを考えています」と話すと、会場から拍手が送られました。

ことし、最優秀賞のパルムドールを競うコンペティション部門には
▽是枝監督の最新作で、ことし3月に亡くなった坂本龍一さんが音楽を担当した「怪物」のほか、
▽東京・渋谷を舞台に役所広司さんが主演を務めた、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」(原題)がノミネートされています。

このほか、北野武監督の6年ぶりの新作「首」も、2021年に新たに設けられた「カンヌ・プレミア」部門で上映される予定で、注目を集めています。

コンペティション部門の受賞作品は、現地時間の今月27日、日本時間の28日早朝に発表される予定です。

映画「怪物」とは
カンヌ映画祭のコンペティション部門にノミネートされた映画「怪物」は、小学生どうしのよくあるけんかから見えてくるある事件を描いた物語です。

子どもたちや親、そして学校教師などさまざまな視点から1つのできごとを描くことで「怪物」が何を意味しているのか問いかける作品となっています。

母親の役を安藤サクラさん、教師の役を永山瑛太さんが務め、2人の小学生を黒川想矢さんと柊木陽太さんが演じています。

是枝裕和さんが監督し、脚本を、映画「花束みたいな恋をした」などの作品で知られる坂元裕二さんが手がけています。

自身で脚本を担当することが多い是枝監督が別の脚本家の作品を手がけるのは映画では1995年の「幻の光」以来、2作目となります。

音楽はことし3月に亡くなった坂本龍一さんが担当していて、映画音楽としては、坂本さんの最後の作品になるということです。
是枝裕和監督とは
是枝裕和監督(60)は、大学を卒業したあとテレビ番組の制作会社に入り、多くのドキュメンタリー番組を手がけて、ギャラクシー賞の優秀作品賞など数々の賞を受賞しました。

1995年に「幻の光」で映画監督としてデビューし、ベネチア国際映画祭の撮影賞にあたる「金のオゼッラ賞」を受賞して話題を集めました。

2004年には、親に捨てられたきょうだいがたくましく生き抜く姿を描いた「誰も知らない」で、主演の柳楽優弥さんが日本人として初めてカンヌ映画祭の最優秀男優賞を受賞し、ドキュメンタリータッチの作風と制作手法が高く評価されました。

2018年のカンヌ映画祭では、年金をあてに暮らしながら、万引きで足りない生活費を賄う家族を描いた「万引き家族」が、日本の作品としては21年ぶりに最優秀賞のパルムドールを受賞しました。

去年は、初の韓国での監督作品となる映画「ベイビー・ブローカー」で、主演のソン・ガンホさんがカンヌ映画祭の最優秀男優賞を受賞するなど、世界を舞台に活躍する映画監督として実績を重ねています。

是枝監督の作品がカンヌ映画祭のコンペティション部門にノミネートされるのは「ベイビー・ブローカー」に続いて2年連続、7回目です。
「PERFECT DAYS」(原題)とは
「PERFECT DAYS」(原題)は、ドイツの世界的な映画監督、ヴィム・ヴェンダース監督が東京 渋谷の公共トイレを舞台に撮影した作品です。

公共トイレの清掃員として働く主人公の男性がある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけにその過去や思いが明らかになっていく物語です。

この作品は、ヴェンダース監督が東京 渋谷区で実施された誰もが快適に使用できる、公共トイレを設置するプロジェクトに共感したことがきっかけで製作され、撮影はすべて東京都内で行われました。

寡黙できちょうめんな清掃員の主人公の役を、俳優の役所広司さんが演じています。

また、脚本はヴェンダース監督と、クリエイティブ・ディレクターで小説家の高崎卓馬さんが共同で手がけています。

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