仏カンヌ映画祭を前に 是枝裕和監督が映画に込めた思いを語る

東京, 5月28日, /AJMEDIA/

世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭で最優秀賞のパルムドールなどコンペティション部門の各賞の発表が、日本時間の29日早朝行われます。これを前に、新作「ベイビー・ブローカー」がノミネートされている是枝裕和監督がNHKの単独インタビューに応じ、映画に込めた思いを語りました。

ことしのカンヌ映画祭は、最優秀賞のパルムドールを競うコンペティション部門に21作品がノミネートされ、日本時間の29日午前3時半から各賞の発表が行われる予定です。

このうち、是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」は、是枝監督が初めて韓国で製作した作品で、おととしアカデミー賞の作品賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」で主演を務めたソン・ガンホさんと組んだ注目作です。

親が育てられない赤ちゃんを匿名で受け入れる、いわゆる「赤ちゃんポスト」がテーマで、預けられた子どもを連れ去ろうとした男たちが思い直して戻ってきた母親に見つかり、成り行きから、育ての親になってくれる人を共に探す旅に出るという物語で、血縁ではない家族の在り方を問う作品になっています。

各賞の発表を前にNHKのインタビューに応じた是枝監督は、「映画の冒頭で刑事が『捨てるなら産むなよ』って、ぼそっとつぶやきますが、たぶん映画を見始める前に多くの方たちがそういうふうに捉えると思います。その考え方を、映画を2時間見たあとにどのくらい揺さぶれるかということが、たぶん今回、自分が勝負したところだと思います」と、映画への思いを語りました。

是枝監督は、4年前の「万引き家族」のパルムドール受賞のあと、全編をフランスで撮影した作品を手がけるなど海外での新たな挑戦を続けています。

是枝監督はフランスと、それに続く韓国での映画製作について、「海外で2本撮ってみて、自分が演出家としてせりふ以外のものがちゃんと見えるようになったという実感がありました。せりふの意味は分からないからそれ以外のものからいろんな情報をキャッチしようと、集中力がいります。それを経験したことで、自分のギガ数が上がったと日本に戻って感じたので、よかったなと思いました」と、新たな挑戦で得たものについて語りました。

そして、「この場所でワールドプレミアを持てるというのは、非常に恵まれたスタートで、映画にとっても、関わった人たちにとっても、とても大きな体験です。スポットライトを浴び、レッドカーペットを歩ける華やかな場所だからということ以上に、自分が関わっている映画のすばらしさや広がりを実感できる場所なので、賞をもらうこと以上に貴重です」と話していました。

最優秀賞のパルムドールなど各賞の発表は、現地時間の28日、日本時間の29日午前3時半から行われる予定です。

ソン・ガンホさん「是枝監督は常に探求して挑戦する姿が印象的」
是枝裕和監督と主演のソン・ガンホさんは27日、カンヌ映画祭の会場で公式記者会見に臨みました。

この中でソン・ガンホさんは、是枝監督が「万引き家族」のパルムドール受賞後、フランスや韓国で映画製作に取り組んだことについて、「是枝監督は、常に探求して挑戦する姿が印象的でした。今回の作品もその1つです。日韓は文化的にとても近く、そして違う点もある。それが作品に出演してとても興味深いことでした」と話していました。

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