ゴールデングローブ賞 11日発表 アニメ映画「犬王」受賞なるか

東京, 1月11日, /AJMEDIA/

アメリカでアカデミー賞の前哨戦とされるゴールデングローブ賞の発表が日本時間の11日、行われます。
日本の映画ではアニメ映画賞に湯浅政明監督の「犬王」がノミネートされていて、受賞の行方が注目されます。

今回で80回目となるゴールデングローブ賞は、アメリカで映画業界を専門に取材する外国人記者でつくる団体が選ぶ賞で、アメリカ映画界最大の祭典、アカデミー賞の前哨戦と位置づけられています。

ゴールデングローブ賞の各賞の発表は、ロサンゼルス近郊のビバリーヒルズで、現地時間10日午後5時、日本時間の11日午前10時から順次行われます。

日本の映画では、アニメ映画賞に湯浅政明監督の「犬王」がノミネートされています。

この作品は、室町時代に活躍した能楽師「犬王」の実話をもとに作家の古川日出男さんが書いた小説「平家物語 犬王の巻」が原作で、能楽師の犬王と琵琶法師の友魚が友情で結ばれ、歌と舞で人々を熱狂させる姿を描いています。

ゴールデングローブ賞のアニメ映画賞に日本の作品がノミネートされるのは2019年の細田守監督の「未来のミライ」以来で、受賞すれば日本の作品としては初めてとなり、その行方が注目されます。

「犬王」湯浅政明監督「今回は参加できることが楽しみ」
ゴールデングローブ賞の発表を前に「犬王」の湯浅政明監督が9日、ロサンゼルスでNHKの取材に応じました。

この中で、湯浅監督は「今回は参加できることが楽しみで、あまり結果は考えずに臨んでいます。変なドキドキはしないで、楽しみなドキドキ、軽いドキドキがしている感じです」と賞の発表を前にした心境を語りました。

ベネチア国際映画祭で革新的な作品などを集めた部門にノミネートされるなど、「犬王」が各国で評価されていることについては「日本の室町時代を扱っていますが、芸術家たちの自立、そこに政治が絡んでくるという昔はどこの国でもあったようなことをテーマにしているので、楽しんでもらっているのだと思います」と分析していました。

そして、映画の中で、琵琶などの古典的な音色と現代のロックなどを融合させたことについては「音楽で上を目指すということが自分たちの感覚ではロックに近いニュアンスだったので、そういう音楽を混ぜたりダンスを混ぜたりした。ちょっと違和感をもちながらも、当時もスターに人々が熱狂する瞬間があったかもしれないと観客に感じてもらえればと思いこのようなスタイルをとった」と話していました。
湯浅監督 これまでの作品は
湯浅政明監督は、福岡県出身の57歳。

大学を卒業後、アニメスタジオで多くのアニメーション作品に携わったあとフリーとなり、2004年に公開された「マインド・ゲーム」で長編監督デビューしました。

その後も「ケモノヅメ」や「映像研には手を出すな!」などのテレビシリーズや、劇場長編「夜は短し歩けよ乙女」などで監督を務め、2017年の「夜明け告げるルーのうた」はフランスで開催された世界最大級のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭」の長編部門で、最高賞にあたる「クリスタル賞」を受賞しました。

また、2021年には紫綬褒章も受章しています。

「犬王」は湯浅監督の通算5作目の劇場長編で、おととしイタリアで開かれたベネチア国際映画祭で若手監督や革新的な作品を集めた「オリゾンティ部門」にノミネートされるなど、国内外で高い評価を受けました。
映画「犬王」とは
映画「犬王」は、室町時代に実在した能楽師、犬王をモデルにした作家の古川日出男さんの小説「平家物語 犬王の巻」が原作のミュージカルアニメです。

視力を失い琵琶法師となった少年、友魚と能楽師の棟りょうを父に持つ異形の少年、犬王の2人が都で出会い意気投合します。

固い友情で結ばれた2人が披露する自由奔放な演奏と他の追随を許さない舞は都の人々を魅了し、ついに将軍 足利義満の前で一世一代のステージに立つことになります。

琵琶をはじめとした日本の古典的な楽器の音色と、現代のロックやオーケストラが融合した自由な音楽表現がふんだんにちりばめられた作品となっています。

監督は今回が5本目の劇場長編となる湯浅政明監督が務め、キャラクターの原案は漫画家の松本大洋さん、脚本は野木亜紀子さんが手がけました。

作品で重要な要素となっている音楽は大友良英さんが担当し、琵琶の監修を琵琶奏者の後藤幸浩さんが務めました。

後藤さんは、作中で琵琶の演奏だけでなく琵琶法師の師匠の声も演じています。

「犬王」は、おととしイタリアで開かれたベネチア国際映画祭では、若手監督や革新的な作品を集めた「オリゾンティ部門」にノミネートされるなど、国内外の映画祭で上映され高い評価を受けています。

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