カンヌ映画祭 早川千絵監督「PLAN 75」が特別表彰

東京, 5月29日, /AJMEDIA/

世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭で、少子高齢化が進んだ近未来の日本を舞台にした早川千絵監督の作品「PLAN 75」が新人監督賞の審査員から特別表彰を受けました。

カンヌ映画祭は最終日の28日、各賞の発表が行われ、日本の早川千絵監督の作品「PLAN 75」が新人監督賞を選ぶ審査員から特別表彰を受けました。

「PLAN 75」は、少子高齢化が進み、75歳を過ぎた人がみずから生死を選べる制度が導入された、近未来の日本を舞台にした作品です。

「男はつらいよ」シリーズなどで知られる倍賞千恵子さんが、夫に先立たれたうえ勤務先にも解雇され、制度を利用するかどうか悩む78歳の女性を演じ、生きることの意味を問いかけます。

作品は斬新な作品を集めた「ある視点」部門にノミネートされ、今月20日の公式上映後には観客から大きな拍手が送られていました。

観客の1人は「難しいテーマに取り組み、勇気があると思った。すばらしい映画だった」と話し、世界の映画ジャーナリストからも高い評価を受けていました。

早川監督「生きていること自体が尊いと伝えたかった」
特別表彰のあとNHKのインタビューに応じた早川監督は「皆さんがすごく期待してくれ、チームもとても喜んでくれているので、賞を頂けてうれしくてほっとしています」と喜びを語りました。

そのうえで「社会的に弱い立場にいる人に差別的な発言があったり、自己責任という言葉が幅をきかせたりして、なかなか人に助けを求められない社会になっている実感があるので、生きている価値とか意味ではなく、生きていること自体が尊いということを伝えたかった」と映画に込めた思いを語りました。

そして今後については「映画を通して誰かを思ったりとか、自分自身のことを考えたりとか、人の心の深いところに響く作品を作っていきたい」と話していました。
最優秀男優賞は是枝監督作品のソン・ガンホさん
また最優秀男優賞は、日本の是枝裕和監督が韓国で製作した映画「ベイビー・ブローカー」で主演を務めたソン・ガンホさんが受賞したほか、最優秀賞のパルムドールは、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督の「トライアングル・オブ・サッドネス」が受賞しました。
是枝監督「日韓のスタッフやキャスト 交流進めば」
是枝裕和監督は、韓国で製作した映画「ベイビー・ブローカー」で主演を務めたソン・ガンホさんが最優秀男優賞を受賞したことについて「彼がこの作品の肝だったし、ムードメーカーだったし、チームリーダーだったし、その彼がこういう形で評価されたのは何よりでした」と喜びを語りました。

そして今回、監督賞を受賞した韓国のパク・チャヌク監督と授賞式のあと話したことにも触れ「日韓のスタッフやキャストが交流すれば、お互いに学ぶことがたくさんあるだろうし、そこからまた新しいものが生まれていくだろうから、そういうことが進むといいなという話をしていました」と述べ、映画界での日韓の交流が進むことに期待を示しました。

是枝監督は2004年のカンヌ映画祭でも、親に捨てられた子どもたちを描いた映画「誰も知らない」に主演した柳楽優弥さんが最優秀男優賞を受賞していて、みずからの作品で主演が最優秀男優賞を受賞するのは2回目です。
ユン大統領「是枝監督はじめ皆さんに敬意」
是枝裕和監督が韓国で製作した映画「ベイビー・ブローカー」で主演を務めたソン・ガンホさんが最優秀男優賞を受賞したことを受け、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領はSNSにお祝いのメッセージを掲載しました。

この中で「ソン・ガンホさんの優れた演技は、新型コロナで疲れた国民の大きな癒やしとなりました。すばらしい作品をともに作り上げた是枝監督をはじめ、俳優、スタッフの皆さんに敬意を表します」と受賞をたたえました。

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