なでしこジャパン【解説】女子サッカーの未来へ覚悟示す

東京, 02月29日 /AJMEDIA/

「女子サッカーの人気回復のためにも負けられない、日本の女子サッカーの未来を左右する試合」

パリオリンピック出場をかけたアジア最終予選に臨む選手たちが口をそろえた大一番。なでしこジャパンは、チームがひとつになった泥臭いプレーでパリへの切符をつかみ取りました。
(スポーツニュース部 記者 福島康児)
最終予選は第1戦の開催地が当初予定されていた北朝鮮の首都ピョンヤンから変更され、試合3日前にようやくサウジアラビアと発表されました。

北朝鮮が中国の比較的温暖な場所で長期間の合宿を行って試合に備えた一方、日本は開催地の変更で海外組の選手の合流が遅れ、満足のいく準備ができませんでした。

第1戦は日本を研究してきた北朝鮮が守備を固める想定外の戦術をとり、日本はほとんどチャンスを作ることができずにかろうじて引き分けました。

北朝鮮と比較して日本は、戦術の浸透度や選手のコンディションが万全ではないように見えました。
そして、中3日で迎えた第2戦。

日本は攻撃の人数を増やすためフォーメーションをディフェンスラインを3人にする「スリーバック」に変更。両サイドの選手が積極的に攻撃参加する戦い方を選択しました。

ただ、勝利につながったのは、こうした戦術面の変更だけではなく、選手どうしが共有していた「勝ちへの執念」でした。

前半26分、先発メンバーに抜てきされた北川ひかる選手のフリーキックからしぶとくつなぎ、田中美南選手のヘディングシュートがクロスバーに跳ね返されたところを高橋はな選手が泥臭く押し込んで先制しました。
守備ではゴールキーパーの山下杏也加選手が相手のシュートをゴールラインギリギリでかき出すビッグプレーを見せ、ディフェンス陣も体を張ってゴールを守りました。

試合後、キャプテンの熊谷紗希選手は、ほっとした表情で振り返りました。
日本の女子サッカーは、2011年のワールドカップ優勝後の「なでしこフィーバー」が一過性のものに終わり、2016年にアジア最終予選で敗れリオデジャネイロオリンピック出場を逃してから低迷期を歩んできました。
この日、国立競技場を訪れた観客は2万777人。

「なでしこジャパン」が国内で行う試合で2万人以上の観客が集まるのは異例のことでした。

「日本の女子サッカーをもう後退させない」

大勢の観客の前で気持ちのこもったプレーを見せた「なでしこジャパン」の選手たち。この勝利はパリオリンピックの切符を勝ち取っただけではなく、女子サッカーの人気回復に光がさす大きな1勝となりました。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts