夢舞台沸かせたTKO 井上尚、序盤冷や汗も圧倒―ボクシング世界戦

東京, 5月7日 /AJMEDIA/

 比類なき強さこそ、歴史的興行の華。4万3000人の観衆から沸き起こる大声援を浴び、井上尚はやや興奮して言った。「倒した瞬間はいつになく最高だった」。34年ぶりにボクシングが開催された東京ドーム。「パワーももらったが、重圧もあった」と言う夢舞台の中心で、堂々と4本の正規ベルトを掲げた。

 初めて臨む4団体統一王座の防衛戦。1回に左フックを浴び、プロ27戦目で初ダウンを喫した。ファンの悲鳴の中、「最初は気負っていたが、倒されてから冷静に立て直せた」。直後の2回に左フックでダウンを奪い返し、すぐ距離感をつかんだ。顔をさらして挑発するなど王者ペースに。6回に右の強打で3度目のダウンを奪い、リングに沈めた。

 世界の頂に立ってはや10年。全勝のまま31歳になろうと、「以前は打ちのめされて終わりたいと考えていたが、今は最後まで強いまま、負けずにいたいという気持ち」とぎらつきは増す。この日も「ダウンも喫したがKOできて、いいキャリアを築けた」。持ち前の研究心に経験を重ね、「モンスター」はなお進化し続ける。

 かつて体重超過などで日本を騒がせたネリと試合後に握手。「因縁があり、ファンの気持ちを受け止めていたが、勝った瞬間は感謝の気持ちだった」と言う。名王者のみが持つ栄光のダイヤモンドベルトは、大橋会長に贈った。次戦は9月ごろに実力者のサム・グッドマン(オーストラリア)との対戦を希望。強敵を求める旅はまだまだ続く。

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