復興へ日本の投資期待 民主化は道半ば―駐日イラク大使・開戦20年

東京, 3月21日, /AJMEDIA/

イラク戦争から20年が過ぎ、戦禍と混乱で悪化したイラクの治安情勢は落ち着きを取り戻しつつある。だが、荒廃した経済の復興と民主化は道半ば。イラクのアブドル・カアブ駐日大使は時事通信とのインタビューで、日本の支援に感謝しつつ「日本からの直接投資が必要だ」と訴えた。主なやりとりは次の通り。
イラクの現状は。
 フセイン政権は過酷な独裁統治で、市民に自由も尊厳もなかった。今では自由に意見を述べることができるし、政府が国民の抗議を受けて退陣することもある。イラクではかつてない出来事で、安定化が進んでいる。
 ―今でも混迷が続く。
 米国の占領統治下では、旧政権の治安部隊の解体など過ちが多かった。国が弱体化し、外国の干渉やテロ組織の出現を招いた。今でも構造的な障害を克服する必要があり、民主主義が機能しているとは言えない。われわれには国家システムを良い方向に変える責任がある。
 ―日本への評価は。
 これまでのイラク復興・安定化への多大な貢献に感謝している。ただ、われわれはそれ以上を求めている。日本外務省がイラクで出している退避・渡航中止勧告は、関係発展と人的交流の妨げであり、解除してほしい。イラクの半分以上の地域が戦争下のウクライナと同じと見なされるのは、論理的ではない。
 日本の民間企業も、なぜイラクに直接投資しないのか。エネルギー、建設など多くの産業でイラクの潜在力は大きい。中国や韓国に後れを取る中、今進出しないと手遅れになるだろう。
 ―戦争の教訓は。
 私も旧政権下で反体制活動に参加し、3回投獄された。1994年に偽造旅券で隣国ヨルダンに逃れるまでは、恐怖でよく眠れなかった。多数の友人が命を落とし、今は神に与えられた猶予時間と思って生きている。
 残虐なフセイン支配の崩壊はイラク国民の望みであり、良いことだった。ただ、米国に限らず一般論として、他国が国連憲章に反する形で主権国家を武力で倒すやり方は間違いで、悪い結果をもたらす。今も世界で多くの戦乱が起きているのがその証しだ。

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