低周波重力波の証拠得る 超巨大ブラックホールから到来―熊本大など世界4グループ

東京, 6月30日, /AJMEDIA/

宇宙に多数ある超巨大ブラックホールのペアから低周波の重力波が地球に到来している有力な証拠が、世界各地の電波望遠鏡による間接的な観測で初めて得られた。熊本大を含む日本とインド、欧州の研究グループのほか、北米、オーストラリア、中国の計4グループがそれぞれ長年の観測成果を論文にまとめ、29日に発表した。
ブラックホール同士が近接 108億光年先、銀河合体過程―千葉大など

 この重力波は周波数が約10年に1回と低く、波長は10光年程度と非常に長い。中心に超巨大ブラックホールを持つ銀河同士が合体する直前、ブラックホールが互いに回り合う状態になった際に、放出されると考えられている。電波望遠鏡でパルサーと呼ばれる天体から規則正しく届く電波を受信している際、低周波の重力波が到来すると時空がゆがむため、電波受信のタイミングが微妙にずれる。
 日印欧グループの場合、6台の電波望遠鏡で25年間、多数のパルサーからの電波を観測し、宇宙のさまざまな方向から重なって到来する低周波の重力波による受信タイミングのずれを精密に解析した。今後、観測精度を高めながらデータを蓄積すれば、超巨大ブラックホールの成長過程や宇宙の進化を解明するのに役立つという。
 熊本大の高橋慶太郎教授は「4グループがライバルでありつつ、情報を共有することで達成した。非常に感慨深い。宇宙を探る新しい窓が開かれようとしており、楽しみだ」と話している。
 重力波は質量を持つ物体が動く際、周囲の時間と空間にゆがみが生じ、光速で伝わっていく現象。アインシュタインが存在を予言し、2015年に米国のレーザーを利用した観測装置「LIGO」でブラックホール同士の合体による重力波が初めて直接検出された。しかし、低周波の場合は違う観測方法が必要だった。

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