日大に「縁故採用」規定 職員応募、学長・監督の推薦必須―田中体制で強化

東京, 12月26日, /AJMEDIA/

 日本大学が大卒職員の採用に関し、「大学の長等」の推薦書がないと応募できないなどと募集要項で規定していることが25日、分かった。日大関係者は、前理事長田中英寿被告(75)=所得税法違反罪で起訴=らが「息のかかった人間を登用するために、既にあったこうした規定を上手に利用していた」と指摘。日大は「新体制の下、見直しの必要があれば適切に対応する」としている。
 日大の2022年度大卒職員(一般職)採用選考試験実施要項によると、応募資格は(1)大学の長等(他大学の長も含む)により推薦された者(2)日大競技部に所属し、優秀な競技歴を有し、かつ将来競技部の監督・コーチの後継者となることについて期待し得る者(3)日大任期制職員(一般職)にある者で、所属部科校長等により推薦された者―の三つ。
 このうち(1)では、日大出身者は学部長または本部部・局長以上の推薦に限ると明記。(2)についても、各競技部の部長および監督の推薦が必要などとしている。
 日大によると、この要項は「(採用者の質の)一定水準を保つため」、01年には設けられていたという。
 日大関係者は「08年に田中氏が理事長になり、側近を人事部長に据えてから『縁故』が幅を利かせるようになった」と指摘。特に田中被告らが所属していた体育会や、背任事件の舞台となった「日本大学事業部」からの採用が目立って増えていったという。
 田中体制では、従順な者を重用し、意見を述べる者を遠ざける人事異動が横行していたとされるが、採用の段階からそうした素地づくりが行われていたとみられる。
 労働法に詳しい東京大の水町勇一郎教授は「民間では誰をどういう基準で選ぶかは差別に当たらない限り自由。広く募集しても、実際は卒業生とのつながりで採用する例は多い」と指摘。東京都内の別の大学関係者も「どの大学にも職員の一定割合は自分の大学の卒業生にしようという不文律があるのが実情。うちも例外ではない」と明かす一方で、「こんな厳格な要件を明文化しているとは」と驚きを隠さなかった。
 日大は事件後初めて開いた10日の記者会見で、田中被告との決別を宣言したが、健全化に向けた具体策はいまだ示されていない。日大関係者は「採用要項の見直しにも着手し、学生が胸を張れる大学にしてほしい」と話した。

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