大音量で妨害、問われる選挙運動 「カーチェイス」他陣営困惑―警察当局も警戒・衆院補選

東京, 5月1日 /AJMEDIA/

 4月28日に投開票された衆院東京15区の補欠選挙で、「つばさの党」から出馬した根本良輔氏らが他候補の演説を大音量で遮ったとして、警視庁は公選法に基づく警告を出した。同庁幹部は、選挙の公平のため抑制的に取り締まりに当たったとした上で、同陣営が「度を越していた」と指摘。今後の選挙でも同様の妨害の可能性があるとして、警戒を強めている。

 警視庁が問題視したのは、根本氏らが同16日、演説会場で他候補に50分近く大音量でやじを飛ばし、クラクションを鳴らしたり、電話ボックスに上ったりした行為。同庁は演説妨害に当たるとして同18日に警告した。

 これだけでなく、同党は選挙活動の在り方が問われる行為を繰り返していた。

 同25日正午ごろの東京メトロ豊洲駅前(江東区)。ある候補者が演説を始めた10分後、つばさの党陣営が街宣車で乗り付けた。約30分間、候補者をけなすような録音を流し、根本氏もマイクで「質問に答えろ」「最低人間」とやじを飛ばした。一時は聴衆と一触即発の状態となり、警察官が駆け付ける事態となった。

 「カーチェイス」と称し、30分近く他陣営の街宣車を追い掛けながら大音量で批判を繰り返すこともあった。同党の黒川敦彦代表はこの様子を動画で配信。「選挙を妨害する意図はない。質問に答えれば終わることだ」と言い切った。

 こうした行為への対抗策として、一部の候補者は、街宣日程の事前公表の取りやめを余儀なくされた。ある陣営幹部は「初めてのケース。有権者に声を届ける機会が減ったかもしれない」とほぞをかんだ。

 警視庁は選挙違反に目を光らせるが、過度に取り締まりを強めれば、選挙の自由と公正の確保に影響を与え、一部の候補者を狙い撃ちにしたとの批判も受けかねない。

 これまで抑制的に対応してきたという同庁幹部は、今後、危険と認められる行為があった場合には「即座に制止していく」と語気を強める。

 一部陣営は妨害行為について、警察が取り締まりをしやすいよう、公選法の改正を求めている。立命館大法科大学院の松宮孝明教授(刑事法)は「裁判所の命令など客観的な事実に基づき、警察が取り締まりに動くことを義務付けるルールの制定が考えられる」と話した。

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