『ハンオシ』倉科カナ、伝説の悪女 “おでん女” を超越したハマりっぷりに感嘆

東京, 12月07日, /AJMEDIA/

(1991年/フジテレビ系)の手法をアップデートして登場した新キャラは、『東京ラブストーリー』(1991年/フジテレビ系)の伝説の悪女 “おでん女” を超越した――。

 先週放送の『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系/以下『ハンオシ』)第7話は、温故知新でアグレッシブに攻めた回だったように思う。

 本作は清野菜名演じるヒロイン・明葉と坂口健太郎演じる相手役・柊が、偽装夫婦となる「不意キュン ラブコメディ」。

 柊は中学時代の同級生で想い人だった美晴(倉科カナ)が自分の実兄と結婚してしまうが、恋心を悟られずに片思いを続けるため、明葉に偽装結婚を申し込む。2人は衝突しながらも偽りの夫婦として共同生活を送るうちに、次第に惹かれ合っていくという物語。

 問題の第7話だが、登場した新キャラ・香菜は美晴と瓜二つだった。それもそのはず、倉科が1人2役で香菜も演じていたのである。

■倉科カナが想い人と性悪 “寄生女” の2役を

 主人公やその相手役が好きだった異性に瓜二つの新キャラが登場するのは、『101回目のプロポーズ』などで用いられてきた手法。『101回目のプロポーズ』では、ヒロイン(浅野温子)の亡くなった元婚約者に見た目そっくりな新キャラが、主人公(武田鉄矢)の恋敵役で登場していた。

 しかしこの手法は、オリジナルのキャラが亡くなっていることがセオリーなのだが、『ハンオシ』では柊の想い人・美晴は元気に生きており、第7話にも普通に登場している。それどころか、香菜が登場したすぐ次のシーンで美晴が登場するカオスっぷり。古くから用いられていた瓜二つキャラ手法を、節操なくアップデートしたような感じだ。

 そんな新キャラ・香菜は、ふだん猫をかぶっているが、実は狙った男を自分のものにするためには手段を選ばないタイプ。

 仕事で知り合った柊の自宅に行くため、わざと柊の自宅近くのカフェを打ち合わせ場所に指定しつつ、手作りケーキを持参。店内で手作りケーキを食べるわけにもいかないという口実で、まんまと柊の家にあがり込むことに成功する。

 これは『東京ラブストーリー』で有森也実が演じた “おでん女” にも匹敵する性悪っぷり。

 ヒロイン(鈴木保奈美)と会う約束をしていた主人公(織田裕二)の前に、手作りおでんを持参して現れた有森演じる悪女。「こないだ約束してたでしょ、おでん。作ってきたの、食べて」と、カノジョ持ちの男の家にあがり込む。主人公が家を出ようとしても、「行かないで」「好きなの」と囁き、主人公とヒロインが会うことを見事阻止するのだ。

 こうして、女に嫌われる女として、恋愛ドラマ界の歴史に名を刻んでいる “おでん女” だが、『ハンオシ』の香菜は、性格の悪さだけで言えば “おでん女” をも上回る悪女だったのである。

 柊と明葉が偽装結婚だと知った香菜は、どうやら大手広告会社勤務の柊を「割り切った夫婦生活が送れるパートナー=寄生先」としてロックオンしたらしく、あの手この手でグイグイ迫っていく。

 玄関先で明葉と2人きりになった瞬間、「私、あなたよりここにハマると思う。そのポジション、変わってもらえません? 偽装結婚なんですよね? 私いわゆる寄生先探してて……」とあけすけに宣戦布告するほどだ。

 だが、結局、香菜の策略は裏目に出て、柊が明葉の大切さに気づくという展開になり、第7話のラストでは柊にフラれる形になった。

『東京ラブストーリー』の “おでん女” は、主人公とヒロインが別れる原因となり、後に主人公と結婚しているため、同ドラマファンからは今でも目の敵にされている。

 そういう意味で倉科が演じた女は、登場したその回のうちにヒロインに惨敗しているため、“おでん女” ほどのインパクトは残せていないが……。それにしても、1人2役の倉科のハマりっぷりには驚くしかない。

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