「PFAS」対策で今夏に指針 健康被害懸念、発がん性指摘も―水質管理の徹底要請へ・環境省

東京, 6月11日, /AJMEDIA/

環境省は、健康被害が懸念される化学物質「有機フッ素化合物(PFAS)」について、今夏にも当面の対応指針をまとめる。米国などで発がん性の恐れが指摘され、国内でも一部地域の地下水などから高濃度のPFASが検出されたため。同省は今年1月、専門家会議を設置し、国民の健康被害を防ぐための方策について議論しており、各自治体に水質管理の徹底を求める方針だ。
PFOSなど指定物質に追加 米軍排水から検出、健康影響懸念―政府

 環境省が2021年度、31都道府県を対象に実施した河川や地下水の調査では、13都府県81地点で暫定目標値を上回る濃度が検出された。一方、東京・多摩地域や沖縄県などでは、市民団体が地域住民に血液検査を実施し、血中からPFASの代表物質「PFOS」や「PFOA」が検出されるなど、人体への蓄積も懸念されている。
 PFASは水や油をはじく特性があり、かつてはフライパンの表面加工など幅広い生活用品に使われてきた。しかし、欧米などの研究結果で腎臓がんなどの発がん性リスクを高める可能性が指摘されたのを受け、国は21年までにPFOSとPFOAについて、製造や輸入、製品への使用を禁止した。
 また、地下水や土壌に残留している可能性を考慮し、20年からは飲料水などで体内に取り込む暫定目標値を2物質合わせて1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)とした。これは、毎日2リットルの水を飲んでも健康に影響が生じないレベルだという。環境省幹部は「現時点で国内外で明確な健康被害は確認されていない」としているが、国民の不安を払拭(ふっしょく)するため、新たに対応指針をまとめることにした。
 具体的には、PFASが含まれる水のリスク管理の在り方などについて示す方針。暫定目標値を超えた場合には、自治体に対し、住民に井戸水を飲まないよう周知するといった対応を求める。一方で、健康被害に関する科学的な知見が不十分なため、法的拘束力を伴う基準については、専門家会議で引き続き検討する。
 また、不安を抱く国民に対し、PFASの性質や暫定目標値などについて説明する解説集を作成。欧米で指摘されている健康被害の可能性などについても紹介する。

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