東京, 12月05日, /AJMEDIA/
優れた科学報道や著作に贈る「科学ジャーナリスト賞」の授賞式が4日、東京都千代田区で開かれ、本紙の連載「南海トラフ80%の内幕」で昨年に同賞を受賞した東京新聞社会部の小沢慧一記者(36)がスピーチした。
昨年度の授賞式は新型コロナウイルスの影響で延期されていた。本紙の同賞受賞は初。
連載は、2020年6~7月に東京新聞で7回掲載。南海トラフ地震が「30年以内に80%の確率で発生する」との政府の公表について、専門家らが「発生確率の導き出し方に科学的な問題がある」と疑義を示していたのに、防災予算獲得などの要因で最終的に採用された背景に迫った。
同賞を主催する日本科学技術ジャーナリスト会議は連載を「丹念な取材で専門家の意見の不一致を明らかにし、科学的根拠の薄い数字が予算獲得などのために独り歩きする実態を浮き彫りにした」と評価した。
小沢記者は「近年は原発問題や新型コロナ対策など、重大な政策判断に対する科学の必要性が増している。『科学的根拠に基づく決定』の中身をブラックボックスに入れてしまわぬよう、今後も情報公開を求め、検証していくことが必要だと思う」と強調した。