ASEANの仲介手詰まり ミャンマー政変から1年半

東京, 8月1日, /AJMEDIA/

ミャンマーで国軍がクーデターを起こし、実権を握ってから8月1日で1年半。国軍の強権支配は続き、人権団体によると、殺害された市民は2138人となった。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、早期正常化へ主導的役割を果たそうと各勢力間の仲介を目指しているが、国軍の強硬姿勢に阻まれ、手詰まり感が漂っている。
 国軍は7月25日、民主化を迫る国際社会に挑むかのように、活動家ら4人の死刑を執行したことを明らかにした。顔に泥を塗られた形のASEANは「大いに非難されるべきだ」とする議長声明を発表。内政不干渉が原則のASEANとしては異例の厳しい表現でとがめた。
 ASEANのミャンマー担当特使を務める議長国カンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相は、3月と6~7月の2回にわたって現地を訪れ、国軍のミンアウンフライン総司令官らと会談した。しかし、国軍が拘束している民主化指導者アウンサンスーチー氏との面会は認められず、大きな成果は上がっていない。
 ASEANは暴力停止など「5項目の合意」の履行を国軍に促している。加盟各国の政治家らでつくるASEAN人権議員連盟は、合意に特使と全当事者の面会が含まれるにもかかわらず、国軍側とのみ会談するプラク・ソコン氏を「最も深刻な犯罪の責任を負う非合法組織に正統性を与えている」と批判した。
 プラク・ソコン氏は、ミャンマー訪問では「人道支援で進展があった」と強調する一方、「ミャンマーの紛争は70年に及ぶ複雑な歴史と政治に深く根差している」と指摘。「解決に近道はない。魔法のつえも秘薬もない」と語り、一歩一歩取り組むのが現実的だと理解を求めている。
 カンボジアの議長国としての任期が満了する年末まで5カ月。議長国の交代に伴い特使が代われば、仲介努力が後戻りしかねない。ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題を担当した国連調査団のマルズキ元団長は、事態の早期解決には「同じ人物が特使を続ける必要がある」との見解を示した。

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