「第3の候補」結果左右も 無所属ケネディ氏が存在感―米大統領選まで半年

東京, 5月3日 /AJMEDIA/

11月の投票が半年後に迫った米大統領選で、民主党のバイデン大統領、共和党のトランプ前大統領による再対決の構図となる中、「第3の候補」の弁護士ロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)が存在感を高めている。当選の可能性は低いものの、バイデン、トランプ両氏の票を奪って選挙結果を左右する可能性も出てきた。

 ◇分断社会の融和訴え

 「もしバイデン氏かトランプ氏が大統領に選ばれれば、皆が互いを憎み合うことをやめると考える人がどれだけいるのか」。4月28日、ニューヨーク郊外ロングアイランドの選挙集会でケネディ氏が社会の融和を訴えると、会場に詰め掛けた数百人の支持者は沸き立った。

 暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領を伯父に持つ名門の出身。知名度は抜群だが、「ワクチンは自閉症を引き起こす」などと科学的根拠に乏しい主張や陰謀論を唱えてきたこともあり、これまで泡沫(ほうまつ)候補と見られがちだった。頼みとするケネディ家からの支持も得られなかった。

 しかし、支持層はワクチン懐疑派だけでなく、バイデン、トランプ両氏に批判的な人々にも広がりつつある。会場を訪れたジェフリー・ローズさん(59)は「バイデン氏は認知能力に問題があり、トランプ氏は道徳的人格を持ち合わせていない」と指摘し、「ケネディ氏は賢くて中道だ」と強調。ニッキー・カーメンさん(27)は「ケネディ氏は分断されたこの国を癒やす。想像以上に支持者がいると思う」と語った。

 ◇激戦州の鍵握る

 ケネディ氏の勢いは、1992年の大統領選に無所属で出馬し、旋風を起こした実業家ロス・ペロー氏の再来を予感させる。ペロー氏は共和党支持層に食い込み、ブッシュ(父)元大統領の再選を阻む要因になったとされる。

 しかし、二大政党の争いが定着した米大統領選で、無所属候補には高いハードルがある。多くの州で投票用紙に名前を載せるには一定数の署名が必要で、これまでに正式に候補者と認められたのはユタ、ミシガン、カリフォルニアの3州だけ。陣営はさらに7州で必要な署名を集めたと主張するが、全50州と首都ワシントンでの署名確保という目標には程遠い。

 それでも、民主、共和両党が伯仲する激戦州でケネディ氏の名前が投票用紙に載れば、結果を左右する可能性は十分ある。ジョージア州立大のタミー・グリア准教授は「ケネディ氏は二大政党の両方から票を奪うだろう。激戦州はますます予測不可能になる」と分析する。

 NBCテレビが伝えた4月の世論調査によると、バイデン氏とトランプ氏の一騎打ちなら、支持率はトランプ氏が46%でバイデン氏の44%を上回る。だが、2人以外の候補を選択肢に加えた設問では、13%がケネディ氏を支持すると答えた結果、39%のバイデン氏が37%のトランプ氏を逆転した。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts