豪、対中抑止力を強化 米ロケット砲など導入

東京, 1月10日, /AJMEDIA/

オーストラリアが米国製の高機動ロケット砲システム(HIMARS)導入を決めるなど、軍備増強を進めている。表向きは「豪本土の防衛強化」が目的とされるが、インド太平洋地域で緊張を高める動きを見せる中国に対する抑止力向上が実質的な狙いだ。
 豪政府は5日、2026~27年までにHIMARSを陸軍に配備し、24年にノルウェー製攻撃ミサイルを海軍艦船に導入する計画を発表した。HIMARSの射程は現在、最長300キロとされるが、さらに射程の長い戦術弾の開発を米国と共同で進める方針だ。米製の新型ステルス爆撃機B21の導入も視野に入れている。
 豪州が軍備増強を急ぐ背景には、中国の動きがある。台湾への軍事的圧力を強め、東・南シナ海で一方的に現状変更を試みているのに加え、地理的に豪州に近い南太平洋の島しょ国への影響力拡大も図っているからだ。中国は昨年、ソロモン諸島と安全保障協定を締結し、軍事拠点の構築につながると懸念が広がっている。
 豪州は対抗策として、米英との安保枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じ原子力潜水艦の導入計画を推進。豪北部ティンダル基地に米軍の戦略爆撃機B52を駐留させることにも合意した。HIMARS導入はこの流れの中にある。コンロイ豪国防産業相は「HIMARSはウクライナ展開で(ロシア軍撃退の)成果を挙げており、豪軍の新戦力になる」と強調する。
 HIMARSは容易に輸送でき、国外展開を予想する声もある。豪グリフィス大のイアン・ホール教授は、CNN(電子版)で「有事の際に東南アジアや太平洋のどこかで使われることはあり得る」と指摘した。

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