米検察、トランプ氏37件で起訴 機密持ち出し「国を危険に」―共和党内では擁護論

東京, 6月11日, /AJMEDIA/

【ワシントン時事】米検察当局は9日、ホワイトハウスからの機密文書持ち出しを巡り、トランプ前大統領(76)の起訴を発表した。スパイ防止法違反や司法妨害など、37件で罪に問われている。2024年大統領選に立候補しながら、大統領経験者として初めて連邦法で起訴されるという前代未聞の展開に、衝撃が広がった。
トランプ氏に「破滅的」 具体的証拠、言い逃れ困難―米識者

 「国防情報を保護する法律を破れば、国を危険にさらす」。捜査を指揮したジャック・スミス特別検察官は9日、記者会見で起訴内容の重大性を強調した。8日付の起訴状によれば、トランプ氏が退任後に持ち出した文書には、米国の核計画や米国・同盟国の潜在的な弱点、米国が攻撃を受けた場合の報復計画といった極めて高度な軍事機密が含まれていた。
 さらにトランプ氏は退任後の21年夏、機密情報の閲覧資格を持たない外部の人物に、他国への「攻撃計画」を見せびらかしていた。起訴状に添えられた写真では、南部フロリダ州の私邸「マールアラーゴ」のトイレや倉庫に文書を詰めた段ボール箱が無造作に積み重ねられ、ずさんな管理も明るみに出た。
 24年大統領選で共和党指名争いをリードするトランプ氏だが、選挙戦への影響はあるのか。3月に不倫相手への口止め料支払いを巡る州法違反で起訴された際は、「司法の政治利用」と批判して同情を集め、逆風を支持率アップにつなげた。今回も党内では「(司法の)二重基準だ」(マッカーシー下院議長)などとトランプ氏を擁護する向きが多い。
 ただ、罪状の深刻度は口止め料事案とは比べものにならない。共和党では主要候補が出そろい、指名獲得に向けた舌戦が本格化したばかり。他の候補者からは「トランプ氏の行いは悪」(クリスティー前ニュージャージー州知事)、「選挙戦を降りるべきだ」(ハチンソン前アーカンソー州知事)といった声も上がり始めた。批判にさらされる中、トランプ氏が支持層の結束を維持できるかは予断を許さない。
 トランプ氏は13日午後3時(日本時間14日午前4時)、フロリダ州マイアミの連邦裁判所に出廷し、罪状認否で無罪を主張する見通しだ。担当するキャノン判事は、トランプ氏が在任中に任命した人物。過去にトランプ氏に有利な判決を下したことがあり、その判断も注目されている。

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