欧州、脱石炭にブレーキ ロ産ガス減で火力発電再稼働

東京, 7月10日, /AJMEDIA/

ロシア産天然ガスの供給減に苦しむドイツなど一部の欧州諸国が、石炭火力発電所の再稼働や稼働期間の延長を相次いで決めている。欧州が気候変動対策として推進し、世界各国にも呼び掛けてきた「脱石炭」政策にブレーキがかかった形だ。
 ドイツ連邦議会(下院)は7日、発電用ガスが不足した場合は2024年3月まで、停止した石炭火力発電所の再稼働などで穴埋めする法案を可決した。既に東部イェンシュワルデの発電所など複数施設で再稼働の準備が進められている。
 ドイツと同様にロシア産ガスへの依存度が高いオーストリアも、20年に稼働を停止した南東部メルラッハにある同国最後の石炭火力発電所の再稼働を6月に決めた。オランダは石炭火力に課していた発電量上限を、24年まで撤廃することを6月に決定。英国も一部石炭火力の稼働期間を延長した。
 ロシアは6月、バルト海を通り欧州に天然ガスを運ぶパイプライン「ノルドストリーム」経由の供給量を、最大輸送能力の4割まで削減。欧州ではガスは家庭用暖房に広く使われており、冬場に不足すれば危機的状況に陥りかねない。このため、各国は発電に使うガスを極力減らし、冬場に備える構えだ。
 各国とも石炭火力の「復活」は、足元の危機を乗り切るための時限的措置と位置付ける。ただ、ロシア産ガスの代わりとなる調達先が確保できない状況が長引けば、「理想的には30年までに脱石炭」(ドイツ)などの目標達成が脅かされかねない。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts