スーダン、民政移管に暗雲 クーデターで停滞の恐れ

東京, 10月27日, /AJMEDIA/

【カイロ時事】軍がクーデターで全権を掌握したスーダンで、民政移管の実現に暗雲が漂っている。移管を担う統治評議会のトップとして軍民共同統治を取り仕切ってきたブルハン氏は25日の演説で「民主的移行への作業は続ける」と約束したが、市民の不信は根強い。国際社会の厳しい視線にもかかわらず、民主化プロセスが滞る恐れもある。

 スーダンでは2019年4月、30年間の独裁政権を率いたバシル大統領(当時)が反政府デモ激化などに伴うクーデターで失脚。市民は民政移管を求めデモを続けたが、同年8月に軍部と民主化勢力が権力を分担する体制で合意した。23年7月の選挙を経て民政へと移る道筋を描く。

 今回のクーデターで拘束された暫定政権のハムドク首相は国連出身の経済学者。民間人トップとして、独裁政権の崩壊とその後の政情不安で混乱した国政の立て直しの手腕が期待された。対イスラエル関係正常化に伴い、昨年12月には米国のテロ支援国指定解除を実現。深刻な経済不振脱却のため米国の財政支援も取り付けた。

 しかし、首都ハルツームなどでは10月に入り、軍の権限強化を求めるデモや、それに反対する抗議行動が再燃し緊張が高まっていた。ブルハン氏は26日の記者会見でも「軍に対する敵意は内戦を招く危険があった」と主張。「クーデターではなく、民政移管への行程を修正しただけだ」として軍の強硬姿勢を正当化した。

 国際社会に復帰しつつあったスーダンでの政変に欧米諸国などは懸念を深めている。バチェレ国連人権高等弁務官は「長年の抑圧的な独裁を終わらせたスーダンが後戻りすれば悲惨だ」と危機感を表明。AFP通信は、国際社会のスーダンへの支援と関与は「民政移管に向けた前進が条件だった」と指摘する専門家の見方を伝えており、経済制裁などの圧力が強まる可能性もある。米国は25日、スーダン向け支援7億ドル(約800億円)の供与停止を発表した。

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