アラブ近隣国と緊張 イエメン内戦で閣僚舌禍―レバノン

東京, 11月02日, /AJMEDIA/

レバノンの閣僚によるイエメン内戦に批判的な発言が公になり、内戦に介入するサウジアラビアなどアラブ近隣国との関係が悪化している。経済危機下のレバノンにとって資金が潤沢な湾岸諸国の支援は不可欠。アラブ各国には、レバノンでイランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラの影響力強化に警戒感も強く、対立は尾を引きかねない。

 レバノンのクルダヒ情報相は先週放映のインタビューで、イエメンでサウジと敵対する親イラン武装組織フーシ派が「外国の侵略から自衛している」と主張。「無益な戦闘は終わらせるべきだ」とサウジを非難した。

 情報相就任前の8月の発言だが、クルダヒ氏はキリスト教マロン派ながらヒズボラとも協力関係にあるため、イランに融和的と受け止められた。同氏は「アラブ諸国と最善の関係を目指す」と強弁するが、国内では「国益を損なった」と辞任要求も噴き出した。

 サウジは駐レバノン大使を召還し、サウジ駐在のレバノン大使に国外退去を命令。レバノン製品の輸入も止めた。サウジのファイサル外相は「ヒズボラの影響力増大が根本要因だ」と批判した。

 アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、クウェートがサウジに追随。オマーンは全当事者に自制を訴え、カタールも関係修復への対応をレバノンに要請した。UAEは10月31日、レバノン滞在中の自国民に早期帰国を促した。

 レバノンは昨年3月にデフォルト(債務不履行)を宣言。「19世紀半ば以降に世界で起きた経済・財政危機でワースト3に入る」(世界銀行)といわれる深刻な状況が続く。湾岸諸国との緊張が長引けば政治や経済の混迷は一段と深まる恐れがあり、アラブ連盟は「崩壊途上のレバノン経済への悪影響」に懸念を表明した。

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