「脱ロシア」外交に試練 サウジ、協力確約せず―中印は逆行・バイデン米政権

東京, 7月19日, /AJMEDIA/

資源大国ロシアへの依存脱却を呼び掛ける米政権の経済外交が試練に直面している。バイデン大統領は就任後初の中東歴訪で、ウクライナ侵攻を続けるロシアと関係が深い産油国のサウジアラビアから協力の確約を得られなかった。中国やインドはロシア産原油の輸入を増やし、ロシアを孤立させようとする流れに逆行。対ロ包囲網は前途多難だ。
 「世界の需要に合わせた十分な供給が必要だ。今後数カ月で何が起きるかを心待ちにしている」。バイデン氏は16日、訪問先のサウジ西部ジッダで、中東の産油国首脳らに増産を訴えた。西側諸国はロシア産原油の輸入を禁止する制裁を打ち出したが、その影響で供給が減り、価格は高騰。中東に対処を求めたものの、サウジは協議の場で要請に応じなかった。
 産油国と消費国の利害調整は難しくなっている。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は、原油相場が下落して国家収入が減る増産に消極的だ。価格決定力を維持したいサウジは、OPECプラスに参加するロシアとの結束を優先している。
 ロシアは米国やサウジと並ぶ有数の産油国で、侵攻前は世界の石油消費量の5%に相当する日量約500万バレルを輸出していた。国際エネルギー機関(IEA)によると、サウジは日量200万バレル、アラブ首長国連邦(UAE)も日量100万バレルの増産余力がある。だが、ロシアの減少分すべてを埋めるめどは立っていない。
 一連の制裁をよそに、ロシアのエネルギー収入は増えている。ロイター通信によれば、4~6月期のサウジのロシア産燃料油の輸入量は前年同期比で倍増。中国とインドもロシア産原油の輸入が過去最高水準に達した。
 バイデン政権はロシア産原油の取引価格に上限を設ける新たな制裁の導入を各国に働き掛けている。ロシアの収入を減らすのが狙いだが、ロシアが報復で供給を一段と絞れば、原油価格はさらに高騰する可能性がある。また、中国やインドは上限設定に「非協力的」(米紙ワシントン・ポスト)とされ、仮に実施されても効果は不透明だ。

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