黒く、多種多様な高分子 りゅうぐうの有機物分析―米サイエンス誌が特集

東京, 2月24日, /AJMEDIA/

 探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った砂などの試料に含まれる有機物について、2本の論文が24日付の米科学誌サイエンスに掲載された。試料から抽出された固体有機物は石炭のように黒い高分子で、多種多様であることが分かった。
 広島大の薮田ひかる教授らのチームは、砂を酸で溶かすなどして、固体有機物だけを抽出して分析。石炭のように黒く、さまざまな分子が無秩序に結合した高分子だった。化学的組成や形態は多様で、りゅうぐうの元となる天体内部にあった液体の水の中で生成され、天体衝突などによる高温にほとんどさらされていないことも分かった。
 地球の生命の起源を巡っては、りゅうぐうのような小惑星が衝突して有機物などをもたらしたという説がある。薮田教授は「今回見つかったような固体有機物が地球上で、生命を育む環境をつくる分子を放出する役割を担った可能性がある」と指摘した。
 また、九州大の奈良岡浩教授らは、溶媒などに溶けやすい有機物を詳しく分析。約2万種の有機物が含まれていることが分かった。また、たんぱく質の元となるアミノ酸を23種検出した。
 アミノ酸には、構造が鏡に映したように対照な左型と右型の2種の分子が存在するが、地球上の生命が利用するアミノ酸はすべて左型。検出されたアミノ酸は左右ほぼ等量で、奈良岡教授は「左型の過剰が、宇宙からもたらされたという証拠にはならなかった。他の小惑星も調べる必要がある」と話した。
 24日付のサイエンスは、りゅうぐうの試料分析による成果を特集。表紙もはやぶさ2が飾った。

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