邦人退避、課題多く 陸上輸送や武器使用想定も―スーダン自衛隊派遣

東京, 4月22日, /AJMEDIA

政府はアフリカ北東部スーダンの在留邦人の退避に備え、自衛隊の輸送機を周辺国ジブチに派遣した。自衛隊機の安全確保や搭乗する場所に邦人がたどり着けるかなどクリアすべき課題は多い。防衛省は武器使用の事態も想定し、準備を急ぐ。
空自輸送機、きょう午後に出発 スーダン邦人退避

 「アフガニスタン以上に条件は厳しいかもしれない」。防衛省幹部は今回の輸送任務についてこう漏らす。2021年の空自機によるアフガンの邦人らの輸送では、現地空港を管制していたのは駐留米軍で、周囲の警備も米軍が固めた。当時を知る自衛隊幹部は「米中央軍の作戦センターが機能し、各国軍用機の離着陸は統制が取れていた」と話す。
 スーダンの場合、首都ハルツームの空港が攻撃を受けたとみられ、空港の管制が機能するか不明だ。関係者によると、首都北部にはスーダン空軍の基地があるが、首都中心部から距離があるという。
 アフガンの邦人輸送では避難者は自力で空港に来ることになった。浜田靖一防衛相は21日の記者会見で、「陸上輸送の可能性も含めて幅を持って検討している。今後のオペレーションについて予断を持って答えることは差し控える」と慎重に言葉を選んだ。
 今回の派遣は「在外邦人等の輸送」を規定する自衛隊法84条の4に基づく。実際に現地で活動する時には別途、行動命令が出される。この規定を適用する場合、武器の使用範囲は隊員と、隊員の管理下で行動を共にする避難者らの防護に限られる。相手に危害を与える使用は正当防衛などでしか認められない。
 一方、同法84条の3は、相手国と連携して邦人を救出することを想定した「在外邦人等の保護措置」を定める。自衛隊の任務を妨害する相手への警告射撃などが可能になる。ただ、憲法が禁じた海外での武力行使に当たらないよう、相手国の同意が必要なほか、秩序が維持され、戦闘が行われていないことも条件になる。

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