耐震化100%で被害6割減 住宅の対策効果―首都直下想定

東京, 5月26日, /AJMEDIA/

 東京都による首都直下地震の新被害想定では、依然多くの人的、物的被害を予測しているが、2012年の従来想定より軽減された。都は今後の対策次第でさらに減らせると強調。1981年の耐震基準を満たした建物が100%になれば今回想定より約6割、規制強化された00年耐震基準にすれば約8割減るとの試算を示した。
 81年基準による都内の住宅耐震化率は20年度で92.0%で、10年前より約11ポイント向上した。都は都心南部直下地震が起きた場合、揺れによる建物倒壊(ブロック塀などは除く)で約3200人が死亡し、約8万1000棟が全壊すると想定。これらの建物の約8割は81年以前の旧耐震基準だ。
 都は耐震化率が100%になれば、死者約1200人、全壊約3万2000棟にまで減らせると指摘。阪神・淡路大震災を受けて作られたより厳しい00年基準を全ての建物で満たせば、死者約500人、全壊棟数約1万4000棟まで減るとした。
 従来想定では、震災時に延焼の恐れがある老朽木造住宅の密集地域(木密地域)の存在が問題視された。都は対策プロジェクトを進め、木密地域は12年度末の1万6000ヘクタールから20年度末は8600ヘクタールにまで減った。残る地域について、担当者は「住民の資金難、複雑な権利関係などが理由で、撤去や建て替えが困難なケースが多い」と指摘。木密地域以外の住宅の耐震化も併せ、都は対策を急ぐ。
 火災防止では、地震の揺れを感知して通電を遮断する「感震ブレーカー」の設置もカギだ。11年の東日本大震災など過去の大規模地震では、原因が特定された火災の半数が、停電復旧時の通電火災など電気に由来していた。現在、感震ブレーカーの設置率は8.3%。都は、住民らによる初期消火率を向上させた上で設置率を25%にすれば火災被害を約7割、50%なら約9割減らせるとした。

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