福島・富岡で準備宿泊開始 桜の名所、「ようやく帰れた」

東京, 4月12日, /AJMEDIA

 福島県富岡町で11日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち来年春の避難指示解除を目指す「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)で住民が自宅などに寝泊まりできる「準備宿泊」が始まった。桜の名所として知られる夜の森地区出身の小野耕一さん(74)は「ようやく帰ってこられた」と喜びを語った。
 準備宿泊が始まったのは、JR常磐線夜ノ森駅周辺の住宅地など約390ヘクタール。1月に通行規制が解除され、全長2.2キロの桜並木は12年ぶりに自由に観覧することができるようになった。
 草木染工房の代表を務める小野さんは「生まれた時からいたわが古里。桜も多くの人に見られて喜んでいると思う」と笑顔を見せた。東日本大震災の時に被災した自宅は取り壊し、息子夫婦が住んでいた近くの家で生活する予定だ。一時帰宅が可能になってからは、年間約30回ほど家を片付けに訪れていたという。
 この日は、給湯器の故障で宿泊はかなわなかったが「桜を使った草木染をしたい。(避難指示が解除される予定の)来年春には戻れるよう準備を進めていく」と意気込む。一方で、近隣には空き地が目立ち、商店や医療機関は少ない。「物足りない。みんなが(帰還を)どうするかは、これからの話になるだろう」と語った。
 町によると、準備宿泊は、2011年3月11日時点で特定復興再生拠点区域内に住民票があった1431世帯3553人が対象。実際に申し込んだのは9世帯11人だった。
 富岡町全域で出された避難指示は、17年に町の面積の約9割で解除された。約1割で避難指示が続いており、解除に向けてインフラ整備や除染が進められている。

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