産廃投棄の豊島、整地完了 事業に節目、水質基準は未達―香川

東京, 3月31日, /AJMEDIA/

国内最大級の規模となる産業廃棄物の不法投棄事件があった香川県の豊島で、ごみの撤去に続いて行われた整地工事が完了した。投棄した業者に対し、県が指導監督を怠ったことを認めた2000年の公害調停から23年が経過。県による産廃処理事業は節目を迎えたが、地下水などの水質が環境基準を達成する見通しは立っておらず、浄化に向けた取り組みが続く。
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 池田豊人知事は30日に現地を視察。記者団に「整地は終わったが、地区を将来世代につなげる意味では道半ば。県として主体的に取り組みたい」と述べた。
 豊島では1970年代後半から、業者が自動車の破砕ごみや廃油などを搬入。兵庫県警の強制捜査が行われた90年まで不法投棄が続いた。国の公害等調整委員会の調査では、鉛や水銀といった重金属やダイオキシンなどの有害物質が含まれていると判明。地下水にまで影響が及んだ。
 地元住民と香川県が協議した結果、業者への指導監督を怠ったとして、県が謝罪することを盛り込んだ調停が成立。県は産廃処理などに取り組んできた。撤去した産廃と汚染土壌は90万トン超で、処理施設整備を含めた事業費は約817億円に達した。
 ただ、今回の整地によって問題が全面解決したわけではない。調停では、住民側に土地を引き渡す条件として水質の浄化が掲げられているが、環境基準達成まで10年以上かかるとの見方もある。県は引き続き、地下水のモニタリングを続ける。住民運動に取り組んできた安岐正三さんは30日、現地で記者団に「原状回復するまで決してあきらめない」と語った。

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