災害復旧補助金、不適切申請か 用水路決壊、管理不備が要因―住民「口止めされた」・宮城県栗原市

東京, 2月6日, /AJMEDIA/

 昨年夏の豪雨で被災した宮城県栗原市が、災害復旧事業の補助金を国に申請した際、災害に起因しない被害も含めていたことが5日、分かった。この申請について、国は補助金の不交付を決定。過去にも栗原市から同様の申請があり、国は補助金の返還請求を行うか検討している。
 栗原市では昨年7月の豪雨で農地などが被災し、農林水産省に対し、36件の災害復旧事業を申請した。田んぼに水を引くための農業用水路も決壊し、市は「豪雨による増水で護岸が崩落した」と説明した。
 しかし、国は現地査定で、市が水路を適切に維持管理していなかったことが決壊の要因と判断。今年に入り、この水路の復旧には補助金を交付しない決定をした。
 複数の近隣住民によると、同水路内には数十年前に個人が無許可で作ったコンクリートのせきがあり、決壊したのはこの部分だった。個人は上流にも別のせきを設置。災害級の大雨でなくても、せきによって、水路から日常的に水があふれる状態だったという。
 豪雨後の昨年8月末、住民の一人が市職員に対し、せきが決壊の原因として撤去を求めた。しかし、「個人でせき止めたことを言うと国から96%出る補助金がなくなる」などと口止めされたという。市はせきが原因で決壊した可能性を認識したにもかかわらず、具体的な調査や申請取り消しは行わなかった。
 市農村整備課は取材に対し、問題のせきについて住民と話したことは認めた上で口止めを否定。「査定の結果は尊重するが、市としては豪雨により崩落したと考えている」と説明した。
 栗原市では2019年の東日本台風でも同じ水路が決壊し、災害復旧事業で修復した。激甚災害に指定されたため、国の査定官が現地を確認しない「机上査定」で補助が決定。この水路など市全体で約5.5億円の補助金交付を受けた。
 農水省東北農政局は現在、市への補助金返還請求について申請窓口である宮城県と協議しており、当時の申請内容の事実確認などを進めている。市は「せきを設置した個人への確認や調査をした上で返還するか判断したい」としている。

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