日米韓、安保協力強化 政権交代で北朝鮮政策転換―米朝会談5年

東京, 6月11日, /AJMEDIA/

【ソウル時事】米朝非核化交渉の決裂後、北朝鮮が核・ミサイル開発を進める一方、日米韓3カ国は安全保障面での協力を強化している。米国では2021年1月に3カ国の連携を重視するバイデン政権が、韓国では昨年5月、保守の尹錫悦政権がそれぞれ発足。米朝首脳会談を実現させた北朝鮮への融和政策から「抑止」に軸足を置いた政策に百八十度転換した。
軍事力強化で米の歩み寄り狙う 北朝鮮、非核化交渉応じず―礒崎慶応大教授・米朝会談5年

 ◇ミサイル情報共有へ
 5月に行われた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に合わせ、日米韓首脳は広島市で会談。会談は短時間で終わったものの、バイデン米大統領は、岸田文雄首相と尹氏を米国に招待し、3カ国の連携の強さをアピールした。
 協力の具体化も進んでおり、北朝鮮の弾道ミサイルの探知・追尾に関する情報を、3カ国が米国経由で即時共有する仕組みが年末までに本格稼働する見込みだ。ミサイル発射への対処力が向上することになる。
 政策研究大学院大の道下徳成教授は、米韓の政権交代で現実主義的な政権が誕生したことで、「日米韓の協力関係が強まった」と解説。「今は3カ国の安全保障協力を強める流れの中にある。協力態勢をしっかり整えた上で、北朝鮮と対話するべきだ」と話す。
 ◇対話から抑止へ
 「北朝鮮の善意に依拠した偽の平和だ」。尹政権は、北朝鮮との対話を進めた文在寅前政権の北朝鮮政策をこう批判している。核兵器の実戦使用をちらつかせる北朝鮮に対し、尹氏は「韓国の安全保障の形が変わった」と抑止力を強化する方針を強調。米国との間で、核抑止に関する情報共有を強化する「核協議グループ(NCG)」を新設することで合意した。
 今月7日に発表された尹政権の安全保障の基本方針「国家安保戦略」でも、転換が顕著に示された。前政権は、南北、米朝の首脳会談を「朝鮮半島の非核化と平和の定着に向かう歴史的な転換点になった」と誇ったが、こうした記述は削除。その代わり、北朝鮮の核・ミサイルを「安全保障上最優先の脅威」と定義した。18年6月にシンガポールで行われた初の米朝首脳会談と共に、朝鮮戦争の終戦宣言や平和協定といった言葉も消えた。
 韓国の梁茂進・北韓大学院大教授は、「南北が互いを『敵』と位置付け、その頂上に(南北)両首脳が立っている」と現状を見る。「両首脳が会わない限り、長く緊張状態が続く可能性があり、尹政権の5年間で南北関係の正常化は非常に難しい」と展望した。

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