違反団体は資格停止 成田憲彦・駿河台大名誉教授―政治改革・識者インタビュー(2)

東京, 5月6日 /AJMEDIA/

 ―細川護煕政権の首相秘書官として関与した平成の政治改革の評価は。

 それまで政治とカネの代表的な犯罪は贈収賄だったが、政治資金パーティーや企業・団体献金の規制によって、議員の意識も向上し、贈収賄の手前で(政治資金収支報告書の)不記載が網に引っ掛かるようになった。「相変わらずざる法だ」との批判も分かるが、網の目は細かくなっている。

 ただ、細川元首相の考えでもあるが、政治改革は不断に行われなければならない。一度改革したら何十年も放置というのは極めて怠慢だ。

 ―今後の政治改革には何が必要か。

 政治資金を規制する行政機関が必要だ。例えば、政治団体を登録制にして、(政治資金規正法の)違反があれば寄付を受けるなどの資格を停止できるようにする。諸外国のように常時監視し、立ち入り調査もして、訂正命令も出す。今国会だけではできないだろうが、実現すれば非常に大きな改革になる。何十年に1回検察が検挙するだけでは駄目だ。

 ―企業・団体献金の禁止まで踏み込むべきか。

 企業・団体献金によって日本の資源配分がゆがめられているのは確かだ。少なくとも全ての選挙区支部が企業・団体献金を受けることは制限するくらいの規制が必要ではないか。

 ―今国会でどこまで実現できるか。

 政治改革に駆けずり回って日本のかじ取りがおろそかになるのは賢明ではない。自民党としては国民にやった形を見せて次に行きたいという気持ちが見え見えだ。国政課題の処理と並行させて、今国会にこだわらず大きな改革を達成すべきだ。

 ―抜け穴のない規制は難しいか。

 難しい。「政治活動の自由」の原理が抜け穴を許容しているが、その中身は「政治家の自由」だ。それを金科玉条とした政治資金規正制度になっているのはおかしい。最良の薬は、おかしければ政権交代することで、有権者が選挙でそれにふさわしい投票をするしかない。

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