政府、北朝鮮の変化探る 「ハイレベル協議」岸田首相意欲

東京, 6月11日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相が拉致問題の解決に向けた北朝鮮との交渉再開に意欲を示している。「解決済み」との立場を崩さない北朝鮮側の変化を探り対話を実現させたい考えだが、呼び掛けが再交渉に結び付くかは不透明だ。
 首相は8日の参院財政金融委員会で「拉致問題は時間的制約のある人権問題だ。全ての被害者の一日も早い帰国を実現すべく全力で取り組む」と強調。「首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベル協議を行う努力を続けたい」と述べた。
 拉致問題で、北朝鮮は2014年のストックホルム合意で約束した全面調査を、16年に一方的に中止した。その後、こう着状態が続いているが、政府関係者は「(北朝鮮側の)反応がある中で水面下で働き掛けている」と説明。首相周辺も「何も準備がなければ『協議する』とは言わない」と語り、交渉実現の可能性を示唆する。
 自民党内では、首相が人道支援をてこに交渉を模索しているとの見方が出ている。拉致被害者家族連絡会(家族会)は2月、被害者全員の一括帰国を条件に「北朝鮮への人道支援に反対しない」との運動方針を決定。家族会関係者によると、5月の訪米時に米政府側の理解を得たという。拉致問題に取り組む自民党議員は「政府は、交渉のために人道支援を持ち出すこともあるとの姿勢に転換した」と指摘する。
 首相が5月27日に、ハイレベル協議に初めて言及すると、北朝鮮の外務省次官は同29日、呼応するように談話を出し、互いに関係改善を模索すれば「会えない理由はない」とした。政府関係者は「金正恩朝鮮労働党総書記も了解した談話だろう」と交渉再開への期待感を口にする。
 ただ、談話は「拉致問題は解決済み」と従来の主張も繰り返しており、日本の外務省幹部は「一喜一憂しない」と強調。日米韓の連携にくさびを打ち込むのが北朝鮮の狙いとの見方も根強くある。

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