感染症対策、知事へ「指示」 首相権限強化、司令塔も設置―特措法改正案の原案判明

東京, 1月1日, /AJMEDIA/

 政府が1月召集の通常国会に提出する新型コロナウイルス対策の特別措置法改正案の原案が31日、判明した。新たな感染症危機に備え、都道府県知事に対する首相権限を強化。社会に重大な影響を及ぼす感染症が発生した場合、直ちに首相が各知事に「指示」できるようにするのが柱。事業者や個人への罰則強化は見送る。
 現行法の規定では、首相はまん延防止等重点措置や緊急事態宣言の際、感染対策について知事との間で「総合調整」を行う。調整が機能しない場合に限り、必要な「指示」を出すことが可能とされている。
 改正案では、国民生活に重大な脅威となる感染症が確認され、政府対策本部が設置された時点から、首相に指示権の発動を認める。コロナ禍で政府と知事の足並みが乱れ、対策に手間取る場面があったことを踏まえ、感染症危機の初期段階から迅速な対策を講じられるようにする狙いがある。
 また、クラスター(感染者集団)の発生などで市町村の業務が困難になった場合、政府対策本部が設置されれば知事が代行できるようにする規定も盛り込み、各行政機関の機能不全に備える。
 さらに、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の際、事業者に営業時間短縮などの命令を出す場合の要件を明確化する。現行法は感染防止のため「特に必要があると認めるとき」と規定が曖昧であることから、事業者の納得を得やすいよう説明内容を充実させる。
 このほか、自治体による感染対策の財源確保を円滑化するため、国からの補助の拡充や地方債発行に関する特例規定を設ける。
 過去の感染症対策では、行動制限に応じない事業者や個人に罰則を科すなど規制強化を求める意見が自民党などから出ていたが、今回の改正では見送る。
 政府は感染症対策の司令塔機能を強化するため、内閣法を改正して「内閣感染症危機管理統括庁」を2023年秋にも設置する方針を固めている。統括庁のトップには「感染症危機管理監」を1人置き、官房副長官を充てる。統括庁の機能は、感染対策の「企画、立案ならびに総合調整」とする。

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