子どもの居場所、オンラインで 広がる不登校支援の選択肢―家庭庁で具体策検討・政府

東京, 1月2日, /AJMEDIA/

 家庭環境の複雑化やコロナ禍など、さまざまな要因で不登校となる子どもが増える中、オンライン上の仮想空間「メタバース」を活用した新たな不登校支援が注目されている。政府は現在、子どもの居場所づくりに関する実態把握を進めており、今年4月に発足するこども家庭庁では、重要施策の一つとする方針。今後、オンラインも含めたさまざまな施策を検討していく。
 メタバースで不登校の子どもの学習支援に取り組む団体の一つ、NPO法人カタリバ(東京)はオンライン上の学び場「room―K」を運営。相談員が不登校の子どもと信頼関係を構築することで、子どもが自分の居場所と感じ、学習姿勢が定着したり、社会性を身に付けたりする効果がみられるという。
 現在、参加者は広島県や東京都文京区などの小中学生約110人。画面上では、国語やプログラミング、他の学生との輪読など1コマ45分のプログラムの中から、自分が勉強したい学習と時間を選んで参加する。
 子どもたちは「勇者」や「姫」など、好きなアバター(分身)となって自由に動き回ることができ、他のアバターに近づくとビデオ通話画面が開いて会話も楽しめる。仮想空間の中ではあるが、さながら休み時間の教室の雰囲気を味わえる。
 この取り組みを始めたのは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う一斉休校で、子どもが学校に行く機会や居場所を失ったことがきっかけ。学校復帰にはさまざまな要因があるが、今年度は参加者の1割弱が登校を再開した。
 ただ、カタリバは学校に行くことのみをゴールにしているわけではない。room―Kを担当する瀬川知孝さんは「子どもの学べる場所づくりが目的。不登校支援に取り組む自治体の選択肢を増やしたい」と語る。
 オンライン上での学びを登校とみなす動きも出ている。埼玉県戸田市は、各学校の校長の判断でroom―Kへの登校を学校の出席扱いとしている。
 文部科学省によると、全国の小中学校で21年度に不登校だった児童生徒は24万4940人と過去最多。不登校支援には自治体が設置する教育支援センターなどがあるが、自宅から遠くて通えないケースや子どもがなじめないケースもあり、支援の手が届かない子どももいる。瀬川さんは「オンライン上のつながりも子どもの支援の場となれば、救われる子どもがいる」と訴える。

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