国葬賛否、ネットでも白熱 デジタル献花や反対署名―安倍氏、死後も議論呼ぶ

東京, 9月24日, /AJMEDIA/

 安倍晋三元首相の国葬に賛否が割れる中、インターネット上でも賛否を表す動きが拡大している。中止を求めるオンライン署名が活発化する一方、「デジタル献花」で安倍氏に弔意を示すサイトも登場した。憲法改正や集団的自衛権の行使容認など世論を二分する政策に取り組んだ安倍氏が、死後もなお国民の間で議論を呼んでいる格好だ。
 20~30代の有志が中心となって始めた「安倍元総理デジタル献花プロジェクト」では、8月25日からネット上で「献花」の受け付けを開始した。サイト上で菊やユリなど花のイラストを選び、メッセージを書き込むことができる。「長い間お疲れさまでした」「日本を見守っていてください」などの声が多く寄せられている。今月22日時点で13万人超が参加した。
 取材に応じた発起人の男性(39)は「弔意を示したくても示せない人もいるのでは」と考えたのがきっかけで始めたという。「(反響の大きさに)驚いている。思いがつながっていく場になったのではないか」と語った。
 一方、上野千鶴子東京大名誉教授らが呼び掛け人に名を連ねた国葬反対の署名活動は、ネット署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で8月23日からスタートした。賛同者からは「法的根拠のない国葬には反対」「費用をコロナ禍で大変な思いをしている人に使うべきだ」などのコメントが相次いだ。9月5日には、他の三つの反対キャンペーンと合わせた約40万筆(重複を除くと約28万筆)を内閣府に提出した。事務局の担当者は「水が広がるように反対の声が続いている。ここまでとは思っていなかった」と驚いた様子だった。
 政治とメディアに詳しい東京工業大の西田亮介准教授(社会学)は、安倍氏が憲政史上最長の8年8カ月首相を務めるなど「いろいろな意味で存在感がある政治家だった」としつつ、「投票に行かない層には安倍氏を良く思っていない人も多い。賛否が分かれる存在だったことも大きいのではないか」と盛り上がりの理由を分析する。
 その上で、演説中に銃撃され死亡するという安倍氏の衝撃的な最期や、岸田文雄首相が国葬実施を短期間で決断したことが、国民の間に強い感情を呼び起こしたと指摘した。

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