乗客家族「時間止まったまま」 運航会社や国の責任追及―知床観光船事故1年を前に会見

東京, 4月21日, /AJMEDIA/

北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故から1年となるのを前に、被害者弁護団が20日、札幌市内で記者会見し、「つらく涙があふれる日々」「時間が止まったまま」とする乗客家族の心境を明かした。家族は弁護団を通じ、運航会社に対する憤りや、国の責任を追及する共同声明も発表した。
 会見には、約20人の乗客家族がオンラインで出席。弁護団が事前質問に対する家族らの回答を読み上げた。
 現在の心境については「ただ家族が戻ってきてほしい」「ふとした瞬間に涙があふれ止まらない」「悲しみ怒りは増している」などと吐露。父親の乗船予約をしたという家族は「今でも悔やまれて仕方がない」と胸の内を明かした。
 共同声明は、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長が責任逃れに終始し、説明責任を果たしていないと指摘。「被害者を侮辱するもので、私たちの心を二重三重に傷つけ続けている」と訴えた。
 カズワンを検査した日本小型船舶検査機構や所管する国土交通省には「ずさんな安全管理体制を是正できなかったことが事件を招いた」と言及。海上保安庁には、事故直後の救難救助対応の検証を求めた。
 会見の最後には、乗客家族が発言。複数の人が桂田社長に対する憤りの声を上げ、「許してはいけない」と語気を強めた。国交省などには実効性のある再発防止策を求めた。
 事故から1年となる23日には、地元斜里町で追悼式が営まれる。参加する家族は「少しでもそばで祈りをささげたい」「息子が見た最後の景色を眺めたい」と語った。

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