ソフトバンク東浜投手、故郷の歩みに目を向けて 「悩めることすら幸せ」―沖縄慰霊の日

東京, 6月23日, /AJMEDIA/

 プロ野球ソフトバンクの東浜巨投手(32)にとって、沖縄は特別だ。同県うるま市出身。本土復帰50年の今年、球史に名を残す無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成した。節目の年に改めて故郷の歩みを知り、深く考えたという。
 ◇目に浮かぶ「慰霊の日」
 既に全国高校野球選手権の沖縄大会がスタート。夏の甲子園を目指し、高校球児が汗を流している。期間中の23日は、太平洋戦争末期に地上戦となった沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」。沖縄尚学高で白球を追った東浜の目には、その日の光景が今も浮かぶ。正午にサイレンが鳴り、試合や練習は中断。「(県の条例で)学校は休み。野球の試合もあったけど、どんな展開でも試合を止めて黙とうしていた」
 戦争は、もちろん伝え聞いた話。不発弾の発見や、2004年に米軍普天間飛行場に隣接する沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した事故をニュースで見聞きした。学校で平和学習を受ける機会もあったが、「聞いている話が壮絶過ぎて、逆に実感がなかった」と振り返る。
 ◇野球ができる日常に感謝
 それでも最近、沖縄の歴史について改めて学び、再認識した。「戦争が終わってから、どういう歴史を歩んできたのか。記憶と照らし合わせて、感じることがあった」
 近年は肘や肩の故障を経験。20年12月には新型コロナウイルスに感染し、療養生活を送った。何事もなく野球ができる日々が、当たり前ではないと思える。「何で僕はこんなことで悩んで、マイナスに考えているんだと思うこともある。悩んで、野球に対して一喜一憂できるだけでも、幸せなことなのではないか」
 5月11日の西武戦でノーヒットノーラン。復帰50年を4日後に控えたタイミングで、沖縄出身選手初の快挙となった。「普通に野球ができているだけでも、感謝しないといけない。1軍で投げる姿を見せることが沖縄への一番の恩返し。県民を勇気づけることになる」。故郷への強い思いこそが、大きなモチベーションになっている。

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