コロナ下、「電子さい銭」じわり 現金触れず感染防止―「時代に合う」「御利益は?」

東京, 12月31日, /AJMEDIA/

 初詣に欠かせない「さい銭」だが、新型コロナウイルス流行に伴い、電子マネーなどで決済するキャッシュレスさい銭が広がっている。硬貨や紙幣に触れず、さい銭箱から距離を取り「密」を避けて決済することで感染防止を狙う。「時代に合う」「御利益はあるのか」。これまでとは一線を画す方式に、意見もさまざまだ。
 キャッシュレスさい銭は2020年1月のコロナ拡大前から各地の神社や寺で導入が始まっていた。さい銭泥棒防止に加え、急増していた訪日客が供える外国通貨にも簡単に対応できることが主な理由だった。金融機関が硬貨の大量預け入れに手数料を取るようになったことも背景にあるとみられる。
 新型コロナ流行後は、感染対策の一環として東本願寺(京都市)などでも導入され始めた。20年12月から取り入れている飛騨天満宮(岐阜県高山市)では、参拝客から「斬新でこんなさい銭もいい」との声が寄せられるなど、予想以上に好評だ。ただ、「電子マネーで本当に御利益があるのか」と笑いながら聞かれることもあるという。
 一方、約1000の寺でつくる京都仏教会は、参拝者がどこにいくら納めたかを第三者が把握する恐れがあることを問題視。「信教の自由」の観点から反対の立場を取る。
 保険相談サービスを提供する保険マンモス(東京都港区)が11月に行った調査では回答した500人のうち、キャッシュレスさい銭について「良い」は43%にとどまった。「良くない」は57%で、現金志向の強さがうかがえる。
 賛成意見として「感染症対策になる」「時代に合っている」などが挙がったのに対し、「実感が湧かない」「罰が当たる」などの意見や、システムの不具合や不正利用を懸念する声もあった。
 飛騨天満宮の細江雅紀宮司(64)は「さい銭はもともと、米や農産物を供えており、後に現金になった。時代の流れでそれがまた電子マネーに代わっても何の問題もない」と指摘。「大切なのは神様や仏様に感謝の気持ちを伝えることだ」と強調している。

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