「70年代初めが大きな転機」 「小林・益川理論」50周年講演

東京, 2月19日, /AJMEDIA/

 ノーベル物理学賞の授賞対象となった「小林・益川理論」の論文発表から50周年を記念する講演会が18日、東京都内で開かれ、小林誠・高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授(78)が「1970年代初めが素粒子物理学の大きな転機だった。流れの中で必死にもがいていた」と振り返った。
 その上で、聴衆の学生らに向けて「変化の中にいる者はその意味を客観的に捉えることが難しい。自らの判断で進んでいく方向を決めることが大切だ。人それぞれの多様性こそが科学の発展の原動力だ」と語った。
 小林さんは73年、先輩の益川敏英さん(京都大名誉教授、2021年死去)とともに、素粒子のクオークが6種類あれば「CP対称性の破れ」と呼ばれる現象が起きるとの論文を発表。当時クオークは3種類しか確認されていなかったが、後に残りも発見された。
 「CP対称性の破れ」があれば、宇宙誕生時に現在ある物質と同じだけあった「反物質」が消えた謎を説明できる。01年には同機構の大型加速器実験で実際に観測され、小林、益川両氏は08年にノーベル物理学賞を受賞した。
 当時の加速器実験では理論通りの結果が予想され、小林さんは「結果が理論に合わない方が大発見なので、合ってほしくないという雰囲気を感じた。私自身も半分くらい、そういう気持ちがあった」と話し、聴衆を沸かせた。小林・益川理論の発表以降、「もっといいものを見つけたいとずっと思っているが、一度も成功していない」という。

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