「理不尽なことなくしたい」 遺族の松永さん、2人との「約束」胸に―事故から3年・池袋暴走

東京, 4月18日, /AJMEDIA

 2019年4月19日、東京・池袋で飯塚幸三・旧通産省工業技術院元院長(90)の運転する車が暴走し、松永真菜さん=当時(31)=と娘莉子さん=同(3)=が死亡した事故から間もなく3年となる。再発防止に向け、SNSやブログで発信を続ける真菜さんの夫拓也さん(35)は「事故や誹謗(ひぼう)中傷による理不尽な思いを他の人にしてほしくない」と語る。
 拓也さんは事故後、自宅で遺体と向き合い、「死のう」と思うほどの絶望感に襲われた。しかし、「真菜と莉子はそんなことをしても喜ばない」と次第に思うようになった。「2人のような被害者や、僕みたいな遺族がもう生まれないよう行動すると約束した。味わった苦しみや悲しみ、交通事故の現実を世の中に伝えていく」と語る。
 インターネットでの発信に「高齢家族の免許について話し合いました」などとコメントが書き込まれることも増えた。「自分の活動が新たな事故の防止につながったのかも、と思える」と手応えを話す。「(家族が巻き込まれるまで)自分は関係ないと思っていた。でも交通事故は毎日発生する。家を出たら当事者でない人はいない」
 一方で、心ない言葉のやいばも向けられている。今年3月、ツイッターの投稿に対し、「金や反響目当てで闘っているようにしか見えません」「天国の妻子が喜ぶとでも?」という書き込みがあった。「知りもしない人に愛する2人を侮辱され、ショックだった」。相談を受けた警視庁は、投稿者について捜査中だ。「言論の自由は大事だが、誰かを傷つけるのは違う。送信ボタンを押す前に読み直さなかったのか。画面の向こうに人間がいることを忘れないでほしい」と訴える。
 交通事故や遺族への中傷の防止に向けた活動や発信の根底には、「2人との約束」がある。「自分が経験した理不尽さを他の人に味わってほしくない。そのために行動を続けることが、2人の命を無駄にしないことにつながる」と語った。

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