「屋根壊さぬよう」逆方向弾 不断の努力、少年時代から―野球WBC・村上選手

東京, 3月19日, /AJMEDIA/

野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表で主軸を担う村上宗隆内野手(23)=ヤクルト=は、左右に本塁打を運ぶ技術が持ち味だ。昨季、日本選手最多のシーズン56本塁打と三冠王を達成した広角打法の原点は中学時代。きっかけはグラウンドにあった。
小学6年生から4年間、地元の熊本東リトルシニアに所属した村上選手。当時利用していた熊本県益城町のグラウンドは右翼側が80メートル以上で、後方に高さ10メートルほどのネットが設置されていた。
 身長180センチほどになった中学3年生ごろから、打球の飛距離がぐんぐん伸びた。力強く引っ張る本塁打性の当たりは、時に場外弾となる。当時から監督を務める吉本幸夫さん(67)は「村上のようにネットを越える子はあまりいなかった」と非凡さを思い起こす。
 グラウンドの外へ飛んだ打球は農家の小屋まで届き、たびたび屋根に穴をあけた。持ち主が笑って許してくれても、子どもたちが謝りにいったり、保護者らが屋根の修理に追われたりする姿は、村上選手も見ていて忍びない。吉本監督は指示した。「壊さないよう逆方向に打ちなさい」
 すぐに左方向へ運ぶ打法に取り組み、高校に進む頃には左中間に長打を放てるようになった。練習熱心さは当時から。「一生懸命努力する。試合では他の選手が打ったら大喜びする。そこは今と変わらない」と吉本さん。
 恩師が「野球が大好きという感じの少年だった」と10年前を振り返る村上選手は、侍ジャパンに欠かせない打者へと成長した。「私が祈るのは、けがをしないようにということだけ。そうすれば順調にいくだろうと思っている」。まな弟子の活躍を、優しく見守るように言った。

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