「一発勝負」の難しさ 月着陸失敗、他国も―取得データ、後継機に・アイスペース

東京, 4月27日, /AJMEDIA/

宇宙ベンチャー企業アイスペース(東京)が開発し、民間初の月面着陸を目指した探査機は26日、着陸に失敗した。月や火星のような一定の重力を持つ天体(重力天体)への着陸は、高度な制御技術が求められる上、着陸に向けた逆噴射を開始するとやり直しも利かないため「一発勝負の難しさ」(同社の氏家亮・最高技術責任者=CTO)があるという。2019年にはイスラエルとインドの探査機が着陸降下途中に相次いで失敗しており、今回も改めて難しさが浮き彫りになった。
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 今回の着陸では、時速約6000キロで周回していた探査機を、逆噴射によって約1時間で秒速数メートルまで減速させる必要があった。氏家さんは「スキーのジャンプ台を自転車で駆け下りつつ、途中でブレーキをかけて台の先端で止めるようなイメージ」と難しさを例える。
 同社の探査機の場合、着陸に向けた逆噴射で搭載燃料の約6割を消費し、一度降下し始めると、途中で引き返すことは難しい。また、地球の6分の1しかない月の重力や、月面を覆う細かい砂(レゴリス)の状況などは地上では完全に再現できないため、事前の試験などで検証しにくく、本番一発勝負となる。
 今回は着陸に失敗したものの、燃料が尽きて探査機が落下する直前までのデータは取得できており、打ち上げから月周回軌道投入までの運用経験を含め、得られた知見は大きい。同社の袴田武史最高経営責任者(CEO)は26日の記者会見で、「月面着陸直前までのデータを取得できた民間企業はうちだけ。非常に有意義なデータだ」と強調。24年に予定している自社開発の探査車を積んだ同型機や、25年予定の大型着陸機の打ち上げに生かす考えだ。

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