SNS発信、識者の見方は 宮内庁検討、「中身が重要」

東京, 9月4日, /AJMEDIA/

 宮内庁がインターネット交流サイト(SNS)の活用を検討している。コロナ禍で皇室の活動が制限されてきた中で、実現すれば情報発信の強化につながると期待されるが、「炎上」などのリスクも抱える。皇室に詳しい専門家からは「発信の中身が大事」との指摘が出ている。
 以前から皇室のSNS活用の重要性を訴えてきた関東学院大の君塚直隆教授(英国政治外交史)は「世界の主要な王室で導入していないのは日本だけ。宮内庁はホームページ(HP)でほそぼそと発信するのみで、情報公開を怠ってきた。遅過ぎるが、始めることは良いことだ」と一定の評価をする。
 君塚教授によると、英国王室は1997年、故ダイアナ元皇太子妃の事故死で支持率が急落したのを機に、広報に力を入れ始めた。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムを活用することで「若い人の関心が高まり、英国民は王室を正確に理解するようになった」という。
 日本では皇室に対する国民の関心が低いとして、「SNSの最大の利点は親しみを持ってもらえること。きちんと広報をして国民の理解を深めるべきだ」と指摘。その上で「皇室の活動費などはすべて税金であり、国民側も関心を持ってほしい」と注文を付けた。
 宮内庁の情報発信をめぐっては、秋篠宮家の長女小室眞子さんの結婚について誹謗(ひぼう)中傷が相次いだため、西村泰彦長官が昨年10月、「時代の変化に伴ってどういう情報発信の在り方がふさわしいのか、今後研究していきたい」と発言していた。
 成城大の森暢平教授(メディア史)は、SNS検討の背景について「価値観が多様化する時代に人々のニーズにどう対応するか、宮内庁が苦慮しているのだろう」と分析。「双方向性があだとなり、皇室のイメージを損なう事態も予想される。実現には困難もあるのでは」と懸念も示す。
 森教授はSNSを導入する場合、HP中心の発信とは発想を変える必要があるとして、「何を発信するのか、中身を考えることが大事だ」と強調した。

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