袴田さん再審、13日に可否 「犯行着衣」血痕の色、争点―曲折審理、東京高裁が判断

東京, 3月11日, /AJMEDIA/

静岡県清水市(現静岡市)で1966年、みそ会社専務一家4人が殺害され、死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求差し戻し審で、東京高裁(大善文男裁判長)が13日、再審開始の可否を決定する。2014年に静岡地裁で再審が認められて約48年ぶりに釈放されながら、東京高裁で再審請求が退けられるなど曲折を経た審理は最大のヤマ場を迎える。
事件の約1年2カ月後にみそタンクから見つかり、赤みの残る血痕が付着した「5点の衣類」が、犯行時の着衣と言えるかが争点。弁護団はみそ漬け実験で黒褐色化したことから「発見直前の捏造(ねつぞう)」と主張している。
 確定判決によると、66年6月30日、専務ら4人が殺害され、近くのみそ工場から持ち出された混合油で放火された。従業員の袴田さんは同8月に逮捕され、パジャマ姿で犯行に及んだと自白した。ところが、初公判で否認に転じた後の67年8月末、工場タンクから血染めの衣類5点が発見された。
 判決は血痕が被害者らと同じ血液型だったことなどから事件との関連を認め、逮捕前に隠匿されたと判断。実家で押収されたズボンの端布、特徴的な緑色の下着の目撃証言から袴田さんが犯行時に着ていたと認定しており、5点の衣類は有罪の中心的証拠とされた。
 差し戻し審では、血痕の色調変化を手掛かりに隠匿時期を突き止めることができるかが焦点となった。タンクに入れられた時期はみその貯蔵状況から「逮捕前」か「発見直前」のいずれかしかない。発見時の実況見分調書に血痕が赤みを帯びていたと記された一方、弁護団の実験では長期間みそに漬かると赤みは消失し黒く変わった。こうした変色メカニズムの検討は最高裁が課した「宿題」で、これが明白になれば「逮捕前の隠匿」とした確定判決に疑義が生じる。
 弁護団は専門家によるモデル実験などを通じ「みその塩分などで血液成分が分解、酸化して赤みが消失するほか、血液のアミノ酸やたんぱく質がみその成分と化学反応を起こして変色が進む」と説明。対する検察側は「モデル実験は色調変化に影響する要因が網羅されていない。特定条件下の化学変化を検討しているにすぎず、メカニズムの解明は困難だ」としており、双方の主張を踏まえて東京高裁の判断が示される。

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