糖尿病の病名変更を提唱へ“不正確でイメージ悪い”専門医団体

東京, 11月20日, /AJMEDIA/

国内に患者がおよそ1000万人いるとされる糖尿病について、病気の実態を示しておらずイメージも悪いとして、専門の医師らで作る「日本糖尿病協会」は病名の変更を求める方針を決めました。今後、新たな病名を提案したいとしています。

糖尿病はすい臓から出るホルモンのインスリンが不足するなどして血糖値が高い状態が続き、腎臓病や失明、神経障害などの合併症につながる病気で、免疫の異常や食べ過ぎ、運動不足などが関係して起きるとされています。

糖尿病という病名はもともと患者の尿に糖が混じることから名付けられましたが、日本糖尿病協会は、共通する症状は高血糖で尿に糖が出ない患者も多く症状を正確に表していないうえ、「尿」ということばから不潔なイメージで見られるなどとして、病名の変更を求める方針を決めました。

患者へのアンケート調査では、およそ1100人のうち、90.2%が抵抗感や不快感を抱いていて、79.8%が病名を変更したほうがいいと答えたということです。

協会は今後、1年から2年のうちに新たな病名について日本糖尿病学会とも連携して提案するとしていて、候補として共通する症状の「高血糖」を使うことなどが考えられるとしています。

協会の清野裕理事長は「血糖値を計測できない時代に決まった病名でしかたがなかったと思うが正確な病名とは言えない。これを機に理解が進んでほしい」と話しています。
「糖尿病」病名の由来は
日本糖尿病協会によりますと、糖尿病は患者の尿に糖が混じることから、その病名がついたということです。

糖尿病は、歴史上紀元前から知られた病気で、ラテン語は「あふれ出す」ということばが当てられ、英語の「diabetes(ダイアビーティス)」のほか、フランス語やドイツ語でも同様の意味の病名が使われています。

日本では、のどが乾く症状があるため、古来から「消渇」と呼ばれ、平安時代の貴族、藤原道長も「消渇」だったと伝えられています。

江戸時代にはオランダから医学の知識が輸入され、オランダ語で「尿」と「洪水」を意味する「pisvloed(ピスフルトゥ)」という病名を翻訳して「尿崩(にょうほう)」が使われるようになったということです。

その後は病気を尿の糖を検査するなどして診断するようになり、1907年に日本内科学会で病名を糖尿病にすると統一されたということです。

糖尿病の診断はいまでは血糖値を測ることが必要になっていて、日本糖尿病協会は病気の実態を表す名前にするよう見直す時期にきているとしています。

日本糖尿病協会によりますと、病名の変更は学会が提唱し、その後、法律上の変更も必要になるということで、学会や行政機関と協力して変更を目指したいとしています。

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