早世のセッターは「努力の天才」 東レ、藤井さんの遺志受け継ぐ―バレーボール男子

東京, 4月14日, /AJMEDIA/

バレーボール男子で2021年東京五輪代表セッターの藤井直伸さんが3月に31歳で死去した。地道に努力を重ね、日本代表まで上り詰めた希代の司令塔。所属していたVリーグ1部の東レは今季レギュラーラウンド5位で惜しくもプレーオフ進出を逃したものの、選手は藤井さんの闘志あふれるプレーが乗り移ったかのように奮闘した。
藤井さんは宮城県石巻市出身。順大在学中に東日本大震災で実家が流される被害を受けながら、周囲の支援で競技を続けてきた。東レ入り後はミドルブロッカーの速攻を多用する巧みなトスワークを持ち味に、16~17年シーズンの優勝に貢献。17年に初選出された日本代表でも主力を担うようになり、東京五輪で29年ぶりに8強入りを果たした。東レの篠田歩監督は「最初から代表に入るような(素質の)選手ではなく、努力を重ねて五輪選手になった」と評した。
 五輪後に元女子日本代表セッターの佐藤美弥さんと結婚。それから間もない昨年2月、胃がんのステージ4と診断されたことを公表した。約1年間の闘病生活の末、早過ぎる別れ。バレー関係者は悲しみに暮れた。
 東レで藤井さんと速攻のコンビネーションを磨いてきた李博は「2本連続でミスしたら、また(トスを)上げてきた。彼のおかげでメンタルを鍛えられた」。2人は東京五輪でも一緒にプレーし、速攻は日本の武器に。感謝してもし切れない様子で「ありがとう以上の言葉が欲しい」と話した。
 自分よりチームメートの気持ちを第一に考えていた藤井さん。高橋健太郎は準備の大切さを学んだといい、「努力の天才。闘争心の塊」と表現。富田将馬は「試合に出ていたらコートで盛り上げてくれる。少しずつ近づけていけたら」と誓った。遺志はチームに脈々と受け継がれていくだろう。

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